また家族話…進次郎氏 ピンチ?政策の話は薄く党員票3位に後退
自民党総裁選の立候補者9人が15日、福島市内のホールで演説会を行った。10分間の演説時間で東京電力福島第1原発事故からの復興加速や、処理水放出に伴う風評被害対策などをそれぞれ訴えた。
注目の小泉進次郎元環境相は演説会冒頭、司会者から「小泉純一郎」と父親の名前で呼ばれるハプニングに見舞われた。その時は苦笑いしていたが、演台に立つと「先ほどは、ご紹介いただきました小泉純一郎です。ただいまは、ご紹介いただきました小泉進次郎です」とあいさつ。同義語を繰り返す“進次郎構文”を思わせる表現で演説を始めた。
東日本大震災後、足しげく福島を訪れたといい「なぜこんなに福島のためにという思いが湧くんだろうと自問した。答えはシンプルでした」と力説。そして司会者を横目に「間違えるのは案外、間違っていないんです。納得感がある」とした上で「私と福島のつながりのきっかけを与えてくれたのが父だからです」と強調。司会者をフォローする意図があったのかもしれないが、あまりに独特な“構文”で聴衆を困惑させた。
さらに“家族エピソード”は続き、子供の頃、純一郎氏に連れられ毎年、福島県猪苗代町の箕輪スキー場に旅行したといい「初めて雪を見たのも、馬刺しを食べたのも福島でした」と話した。「福島への思いを、父親として子供に引き継ごうと思った」と、4歳の長男を温泉に連れて行き、安達太良山(あだたらやま)のロープウエーに乗せたと、県内の観光名所を挙げながら家族旅行の思い出を披露。愛犬も一緒だったと付け加え「ちなみにその犬は浪江町出身。私の妻が原発事故で取り残された犬を保護して、今16歳」とフリーアナウンサーの滝川クリステルにも言及した。
12日の会見で実母のエピソードに触れたのに続いて、またも繰り出した家族の話は持ち時間10分のうち約5分。首相に就任したら風評被害に取り組むと訴えたが「世界に農産物、海産物を出していけるよう頑張っていきたい」と語るのみで具体策はなく、SNS上には「政策はどうなっているのか」などの書き込みが相次いだ。
国民的人気を背景に早くから本命視されている小泉氏だが、告示後のテレビ番組や演説会で他候補や司会との会話がかみ合わないことが多く、説明力の未熟さや論戦の弱さが露呈し始めている。実際、党関係者の間で出回っているデータでは、党員票で高市早苗経済安保担当相に逆転され3位に転落。党関係者は「現時点では議員票との合計で2位につけている。決選投票に進めば勝てると思うが、日を追うごとに党員の信頼を失っているのが心配だ」と頭を抱えている。
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