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南海トラフ臨時情報、巨大地震「注意」初めて発令 宮崎県南部震度6弱で気象庁

[ 2024年8月9日 04:40 ]

 気象庁は8日、南海トラフ巨大地震の発生可能性が平常時に比べて相対的に高まっているとして「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表した。午後4時43分ごろ、宮崎県南部で発生した震度6弱の地震を受けて調査。最大規模の地震が発生した場合、関東から九州にかけての広範囲で強い揺れ、関東から沖縄にかけての太平洋沿岸で高い津波が想定されるとして1週間程度、注意するよう呼びかけた。臨時情報の発表は2017年11月の運用開始以来初めて。

 今回の地震の震源地は日向灘で、震源の深さは約30キロ。地震の規模はマグニチュード(M)7・1と推定される。震源地は南海トラフ地震の想定震源域の範囲内で、気象庁は有識者で構成する評価検討会の臨時会合を緊急開催、南海トラフ地震との関連を調査した。

 検討会の平田直会長は記者会見で、今回の地震は想定震源域でM7クラスの地震が起きた「一部割れ」に当たるとの見解を明らかにし、普段より数倍発生する可能性が高くなっていると強調。防災行動が必要となる地域については「現時点で、どことは言えない」とし、「政府や自治体の指示に従っていただきたい。日ごろからの備えを再確認してもらいたい」と呼びかけた。津波警報が出た場合の避難場所や経路を再確認するよう呼びかけ、「個人的な考えだが、それができていれば夏休みに海水浴をしていただいても問題ない」と述べた。

 発生した地震の規模がM7級だったりした場合「巨大地震注意」と判断。内閣府はすぐに避難するための準備として、玄関に非常用防災袋とヘルメットを、寝る時は枕元に履き慣れた靴を置いておくよう呼びかけている。

 南海トラフ地震の想定震源域や周辺でM6・8以上の地震が発生するなどした場合、気象庁は「臨時情報(調査中)」を発表し、評価検討会を開催。地震のメカニズムを分析するなどし、大地震の恐れがあると判断すれば「巨大地震警戒」「巨大地震注意」を、防災対応は必要ないと判断すれば「調査終了」の臨時情報を出す。

 ≪新幹線も当面“減速”≫南海トラフ地震の臨時情報を踏まえ、東海道新幹線は8日から、三島―三河安城間の上下線で速度を落として運転した。1週間程度続ける予定。この区間を走行する列車は、少なくとも10分以上の遅れとなる。JR東海が明らかにした。この区間では、最高速度が通常の285キロから230キロとなる。

 ≪タンス下敷きで負傷≫宮崎県南部で発生した地震で、同県日南市では倒れたタンスの下敷きになり、80代女性がケガをした。意識はある。宮崎空港では管制塔の天井が落下。ケガ人はいなかった。熊本県では玉名市で70代女性が、八代市で50代女性が転倒し、ケガをしたとの119番があった。気象庁は今回の地震で、高知、愛媛、大分、宮崎、鹿児島の各県に津波注意報を発令。宮崎県で約50センチの津波を観測するなどした。注意報は午後10時に全て解除された。

 ▽南海トラフ巨大地震 駿河湾から日向灘沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)に沿って発生する地震。おおむね100~150年間隔で起き、政府の地震調査委員会はマグニチュード(M)8~9級の地震が30年以内に起きる確率を70~80%と算出している。政府は2012年、最大32万3000人が死亡するとの想定を公表。防災対策の進展を踏まえ、昨年から想定見直し作業を進めている。

 ▽鷺谷威・名古屋大教授(地殻変動学) フィリピン海プレートが沈み込んでいく境界がずれたと考えられ、想定されている南海トラフ地震と同じタイプの地震の可能性が高い。想定震源域の端で発生し、規模も巨大地震注意の臨時情報を出す基準を満たした。(今回の震源から離れていても)南海トラフ沿岸地域に住む人は、いつ地震が来るか分からないという意識で過ごしてほしい。地震が起きたらどんな対応が必要か、津波の浸水の危険があるかどうかなど、一人一人が自分のこととして捉えて行動してほしい。

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