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「カズワン」えい航中に落下 事故で沈没した地点より1.5倍深い海底182メートルで発見

[ 2022年5月25日 05:30 ]

 北海道・知床半島沖で観光船「KAZU 1(カズワン)」が沈没した事故で、専門業者「日本サルヴェージ」が24日、カズワンを斜里町沿岸部の浅い海域へえい航中、船体が落下、水深182メートルの海底で発見された。

 カズワンは事故で水深約120メートルの海底に沈んでいるのが4月29日に見つかり、サルヴェージ社の作業船「海進」が5月23日に同約20メートルまでつり上げてえい航していた。だが、24日午前10時20分ごろに落下し、斜里町・ウトロ地区の港から西約11キロの海底に沈んだ。カズワンがまたしても海底に消える事態に地元の斜里町では「まさか」と驚きの声が漏れた。

 落下した海域は当時、潮の流れが速かった。元海上保安監で海上災害防止センターの伊藤裕康理事長は「潮の流れが当時、進行方向と逆だった。カズワンの船体は繊維強化プラスチック(FRP)製で、鉄製より軽いため、流れに逆らって浮き上がり、バランスを崩した可能性がある」と指摘した。

 海上保安庁によると、カズワンに取り付けたナイロン製の帯「スリング」5本のうち、2本が切れていた。水中カメラによる調査の結果、カズワンは船底を下にした状態で、船首付近の手すりが外れていたが、他に目立った損傷はなかった。スリングは摩擦に弱く、海保は船体とこすれて切れた可能性もあるとしている。

 船体の損傷状況は事故の調査に欠かせない物証だけに、落下の影響が懸念される。運輸安全委員会の森有司首席船舶事故調査官は今回の落下を受けて「船体にもし損傷があった場合、無人潜水機の撮影などで得られている情報から、いつの損傷かを考えるしかない」と語った。

 1回目の引き揚げでは深い場所でも活動できる「飽和潜水」の手法を用いたが、サルヴェージ社は今回、無人潜水機を使って作業する。スリングを取り付けるための準備を25日から始め、26日につり上げる。船体は「横抱き」という手法で作業船の側面に固定。浅い海域に移動した上で、クレーンにより海進へ載せ、27日にも網走港に入り、数日をかけて内部の水を抜いた後に陸揚げする。

 ≪運航会社の事業許可取り消しへ≫カズワン沈没事故を巡り、国土交通省はこの日、運航会社「知床遊覧船」に対する特別監査で17項目の安全管理規程違反を確認したとして、事業許可を取り消す行政処分案を公表した。同社は昨年も事故を起こし、同省に指摘された違反を繰り返した項目もあった。海上運送法に基づく処分としては過去に例のない最も重い措置。同社側に釈明の機会を与える「聴聞」を6月14日に実施した上で、同月中に処分する。

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2022年5月25日のニュース