白神山地で発見!コロナ改善酵素 肺炎重症化抑制 治療薬開発へ期待

[ 2021年11月26日 05:30 ]

白神山地
Photo By 共同

 秋田、青森両県にまたがり世界自然遺産に登録されている白神山地の土壌に棲息する細菌由来の酵素に、新型コロナウイルス感染による肺炎の重症化を改善する効果があることを、秋田大などの研究グループが25日までに英科学誌電子版で発表した。今後、治療薬開発への活用が期待される。

 同大学院医学系研究科の久場敬司教授らは細菌が持つ酵素「B38―CAP」に着目。人が持つ酵素「ACE2」と同様に高血圧や心不全、重症急性呼吸器症候群(SARS)など重症肺炎の改善に役立つと突き止めた。

 研究チームなどによると、人が持つ酵素は肺炎の重症化を抑制するが、新型コロナウイルスと結びつき、細胞内への侵入を許す性質も持つ。人と同じ「ACE2」を持つハムスターや、遺伝子を操作してこの酵素を持つようにしたマウスで実験したところ、新型コロナに感染すると、肺で「ACE2」の数が減少し肺炎が悪化した。しかし、悪化した個体に細菌由来「B38―CAP」酵素を投与するといずれも症状が軽減され、ウイルスと結合せずに肺炎を抑え、重症化を改善することが判明した。

 白神山地は東アジアで最大のブナ原生林。多種多様な貴重な動植物を育む生態森林系で、微生物遺伝子資源の宝庫とされる。重症化改善効果が見られた酵素は、現時点では白神山地でしか見つかっていない新種という。同地の酵素が新型コロナ抑制に結び付いたことについて久場教授は「進化の偶然ではないか。人の進化と細菌の進化の過程で偶然同じようなものがあった」としたが、今後も、人の手がほとんど入っておらず特異な多様性を持つ同地から、さまざまな有効な微生物や酵素が発見される可能性もある。

 さらに期待されるのは、この酵素を使っての治療薬開発となる。人由来の酵素は培養に時間がかかり、大量製造が難しく、医薬品の開発は進んでいなかった。菌由来の酵素は、「細菌に勝手に作らせることができて、細胞分裂のスピードも速い」(久場教授)と量産も容易だという。すでに動物レベルでの吸入薬の実験もされており、現時点で副作用も見られていないという。日本の世界遺産から世界を救う新薬が生まれるか、注目が高まりそうだ。

 ▽白神山地 1993年、鹿児島県の屋久島とともに日本初のユネスコ世界自然遺産に登録された。13万ヘクタールに及ぶ標高200~1250メートルの山岳地帯で、その中心部1万7000ヘクタールが世界遺産。氷河期後の約8000年前からの原生林が残り、500種以上の植物やイヌワシ、クマゲラなどの貴重な動植物が棲息する。保全のために入山規制されているが、手続きをすれば指定ルートや既存の遊歩道に限って登山やトレッキングが可能。

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