IOCバッハ会長 安否懸念の中国テニス選手とテレビ電話、火消しも疑念晴れず

[ 2021年11月23日 05:30 ]

モニター画面に映る中国の女子テニス選手、彭帥と会話を交わすIOCのバッハ会長(C)IOC/Greg Martin
Photo By 提供写真

 国際オリンピック委員会(IOC)は21日、中国最高指導部メンバーだった張高麗元副首相に性的関係を強要されたと訴えた同国の女子テニス選手、彭帥(ほう・すい、35)の安否が懸念される問題で、バッハ会長が同選手とのテレビ電話で無事を確認したと発表した。30分間にわたる通話で、IOCは「北京の自宅で安全かつ元気にしているが、今はプライバシーを尊重してほしい、と彼女は説明した」と疑念の打ち消しに努めた。

 来年2月の北京冬季五輪開幕前の1月に現地入りするバッハ氏が、北京での夕食に彭帥を招待し、参加の快諾を得たという。IOCは、彭帥が笑顔で通話する様子を収めた写真とともに「彼女は今は友人や家族と過ごすことを望んでいる」と強調した。

 彭帥を巡っては、女子テニス協会(WTA)や国連人権高等弁務官事務所などが相次いで安全への懸念を表明。国営メディアなどのSNSを通じてのみ情報が発信されることに中国へ世界的な嫌疑が高まっていた。

 中国はこれまで、人権問題を理由に米国で北京五輪の「外交ボイコット」が取り沙汰されたことなどに強く反論してきたが、この問題に関しては沈黙。中国主要メディアは国内でバッハ氏と彭帥の通話を報じておらず、共産党・政府の権威に傷がつきかねないため慎重に対応しているとみられる。

 一方、今回のIOCの発表は、北京五輪の開催に響きかねないと判断したIOCと中国当局が連携して事態の収拾に乗り出した可能性が高い。バッハ氏と彭帥の通話を通じ、世界に向けて彭帥の「身の安全」をアピール、火消しに躍起になっているとの見立てだ。

 もちろん国際社会での疑念は晴れない。バッハ氏は、東京五輪を巡り、日本国民の声よりも五輪開催を最優先して“ぼったくり男爵”とまで呼ばれたほどの人物。バッハ氏自身のコメントもなく、テレビ電話の詳細な経緯も不明だ。

 早速、WTAはIOCの発表について見解を公表した。ロイター通信によると、広報担当は「彼女の性的暴行の訴えに対する完全で公正かつ透明性のある調査を圧力のない形で求めることに変わりはない」と指摘。肉声も含め彭帥自身による情報発信がないまま。このままでは不信感を拭い去ることはできない。

 《外交ボイコット、日本政府は未定》松野博一官房長官は記者会見で彭帥について「一刻も早い懸念の払しょくを望んでいる」と述べた。米国に続き、英国も北京冬季五輪の「外交ボイコット」を検討していると報じられたことを巡り、日本政府の対応について「現時点で何ら決まっていない」と述べた。政府対応の判断時期も示さなかった。

 【彭帥の安否不明問題】
 ▽11月2日 彭帥が短文投稿サイト、微博(ウェイボ)に張高麗元副首相との不倫や性的暴行を受けたと実名で告白。即座に削除

 ▽同14日 彭帥が投稿後安否不明となり、女子テニス協会(WTA)が公正な調査を中国側に求める声明を発表

 ▽同15日 男子シングルス1位のジョコビッチらが彭帥の身を案じるコメント

 ▽同18日 中国国営メディアが彭帥のものとするメールをツイッターで公開。「私は行方不明ではなく危険な状態でもない」。WTA幹部は「安全への懸念が高まった」と発言

 ▽同19日 国連人権高等弁務官事務所の報道官が身の安全を要求。サキ米大統領報道官も「懸念」

 ▽同20日 米紙ニューヨーク・タイムズが中国の隠ぺいを非難し、北京冬季五輪開催国としての適格性に疑義

 ▽同21日 彭帥が北京で行われたテニスイベントに登場したと、イベントの微博公式サイトに写真が公開される

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