ソフトボール初戦快勝に歓喜 エース上野は「甘えん坊」、高崎の“母”が明かす素顔

[ 2021年7月22日 05:30 ]

北京五輪直後の上野と磨理さん
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 福島市で行われた東京五輪のオープニングゲームを白星で飾った女子ソフトボール日本代表。先発した上野由岐子投手(39)が拠点にする群馬県高崎市で18年前から足しげく通う焼き肉店「伽や(やはにんべんに耶)の家」では「高崎のママ」と慕うオーナー夫人の金磨理さん(63)が鉄腕エースの知られざる素顔を明かした。一方、プレーボールと同時刻に海開きした福島県相馬郡新地町の釣師浜海岸では、被災者が「復興五輪」の旗印を「まだ早い」と冷めた目で見つめた。

 店の開店は午後5時だが、午前9時の試合開始と同時に金さんは店内のテレビにクギ付けになった。勝利が決まると「初回はヒヤリとしたけど、いつも徐々に調子を上げるから心配しなかった」と優しいまなざしを向けた。

 上野と初めて会ったのは03年に店をオープンした直後。宇津木麗華監督(58)に連れられてやって来た。当時上野は21歳。それ以来、忙しい練習の合間を縫って、2カ月に1度チームメートと足を運ぶ常連になった。好物は上ハラミ。「他にテールスープや野菜などバランスよく上品に食べている」という。店内には上野のユニホームや写真など多数を展示。入り口には「再び頂点へ」のメッセージを掲げた。

 上野は22日、39歳の誕生日を迎えた。金さんにも同い年の娘がいる。それだけに、出身地の福岡を離れ寮生活を始めた上野の話し相手となり、実の娘のように接してきた。19年、顎を骨折した上野は退院したその足で来店。金さんが細かく刻んだ肉を流し込むように食べた。

 しっかり者のイメージの強い上野だが、金さんの前では意外な一面も見せる。「甘えん坊なところもあって、2人でいると“ママさーん”て寄ってくるんですよ」。上野は現在、マンションで1人暮らし。寂しさを感じているのか、数日前に「おいしいご飯食べたーい」と絵文字付きLINEが届いた。

 北京五輪後、燃え尽き症候群に陥ったと告白した上野。金さんも当時、それを感じた。だが、今は五輪へ懸ける強いモチベーションを知る。恩返しの気持ちだ。相手は選手時代を含め金メダルを手にしていない宇津木監督。「良い指導者と出会えたから今の自分がいる。恩返ししたい」。この上野の言葉を聞いた時、「大人になったな。政治や経済の勉強もしてるし、成長した」と感慨深げに話した。

 コロナ禍で店は大打撃だが、5月、市内の代表合宿に午前4時半から仕込んだ約50個の骨付きカルビ弁当を差し入れた。「上野ちゃんたちと知り合えたのが店をやって一番の財産。エンジョイして金を獲れたら最高」。夜半に店を後にし、早起きしての応援が続く。

 ≪“仲間”8選手が代表、市内PV30人が声援≫高崎市内のチームから8選手が代表入り。この日、市内の高崎芸術劇場でパブリックビューイング(PV)が開催され、約30人が声援を送った。全国的にPVが中止となる中、“市の仲間”を激励しようと実現。入場者の上限は250人だったが、企業が団体での応援を自粛するよう呼び掛けたため空席が目立った。検温、マスク着用、声を出さない、などが義務づけられ、来場者は静かに400インチの画面に見入った。それでも日本に点が入ると拍手。勝利の瞬間はひときわ大きな拍手で沸いた。今春入社した会社でソフトボールチームに入部したという木下千佳さん(19)は「ボールを捕ってから投げる早さが参考になった」と話した。

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