五輪 観客席 使われないまま解体続出か

[ 2021年7月13日 05:30 ]

解体される馬事公苑のメインアリーナを囲む観客席と照明塔(撮影・西川祐介)
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 東京五輪が首都圏1都3県などで無観客開催となり、五輪用に建設された各競技会場の仮設観客席が使用されないまま解体となるケースが続出しそうだ。馬術会場の馬事公苑(東京都世田谷区)では、巨大な観客席を建設したが、観客が座ることなく、五輪競技終了後に解体工事に入ることになった。

 静かな住宅街の中で、緑に覆われた馬事公苑。現在敷地の周囲は「TOKYO2020」のパネルが取り囲む。JRA(日本中央競馬会)が所有し、1964年の東京五輪でも馬術競技の会場となった同所は、五輪会場整備のため2016年12月31日から休苑している。

 敷地の外から見えるのは高く伸びた観客席だ。約294億円かけ、古くなった厩舎などの改修と合わせ、メインアリーナを囲む9300人収容の仮設観客席と8本の大型照明塔を設置したが、解体工事を行って23年秋に再び開苑する予定。結局、仮設観客席を使わないにもかかわらず7年ほど休苑する。近隣の世田谷区民の女性(45)は「馬が見られて、子供の遊び場としても住民の憩いの場だった。長い休苑も五輪のためなら仕方がないと思っていたが、使わぬまま壊すのは悲し過ぎる」と話した。

 五輪・パラリンピック組織委員会は、大会43会場の仮設設備にかかる費用は20年の延期前には約3160億円としていた。1年延期となり、さらに無観客と大混乱が続く中、残念ながら多くの会場が“無用の長物”と化している。

 スポーツクライミングやバスケットボール3人制の会場となっている青海アーバンスポーツパーク(東京都江東区)も、その一つだ。約3億4000万円の工事契約で20年の五輪を目指して8000人収容の仮設スタンドを建設した。その後の延期を受け、台風などに備えて安全性を考慮し、一度解体。今年、再び建設され、最終的に無観客のまま再度解体となる。

 同会場を含め、延期に伴い撤去して、再び建設した施設には追加で約730億円が投じられた。仮設観客席が大会後に取り壊されることは予定通りのため、追加費用は出ないとみられるが、もったいないを通り越し、むなしさが漂う“レガシー”となりそうだ。

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