北朝鮮の五輪不参加正式決定…真の狙いは日韓への冷や水?辺真一氏が「絶交政策」分析

[ 2021年6月10日 05:30 ]

経済財政諮問会議であいさつする菅首相
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 国際オリンピック委員会(IOC)は8日の理事会で、北朝鮮が獲得した東京五輪の出場枠を他の国・地域に再配分することを決めた。これにより、北朝鮮の東京五輪不参加が事実上確定した。北朝鮮は1964年東京五輪も不参加で、夏季大会での参加見送りは88年ソウル五輪以来、33年ぶりとなる。

 北朝鮮体育省は4月、新型コロナウイルス感染拡大への懸念を理由に選手団を派遣しないと公式サイトで表明していた。IOCは「国内オリンピック委員会(NOC)から正式な通知はない」と参加を説得するとしていたが、北朝鮮側からはアクションがなく、五輪開幕が迫る中で判断に至った。

 IOCのNOC担当責任者は記者会見で「出場枠を待つ選手、公平性のために決めなければならなかった」と説明した。

 背景についてコリア・レポート編集長の辺真一氏は、新型コロナ感染の懸念は表向きの理由で、不参加の真相は「韓国の文在寅大統領と日本の菅義偉首相に冷や水を浴びせるため」とする。北朝鮮は現在、非核化を巡る米国との関係悪化から日韓とも“絶交政策”を取りチャンネルを閉ざしている。

 コロナ対策の不備で支持率を落としている菅政権は、拉致問題を進展させられれば今秋にも迎える衆院選へ明るい材料となる。文政権も任期残り1年の中、支持率低下で次期大統領選は政権交代の危機で停滞する南北問題が最重要課題だ。

 ともに北朝鮮との関係改善を狙い、東京五輪で協議の場を設ける計画もすでにあった。「世界の要人が集まる中、金正恩総書記ではなくとも妹の金与正氏が五輪に来る可能性はあった。しかし、北朝鮮は今は絶対に対話をしたくないタイミング。五輪不参加は日韓とも交渉の意思は全くないという表明だ」と関係改善をシャットアウトしたとの見方を辺氏は示す。

 過去にも政治的理由で参加見送りをしてきた北朝鮮にとって、五輪は「メダルの数や国威高揚を目指す場ではなく、常に外交カードの一つ」(同)。しかし、コロナ下での五輪開催に逆風が吹く菅首相にとって、五輪を舞台とした最大の外交カードの一つも失った格好だ。

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