「紀州のドン・ファン」元妻“高飛び”前の急転逮捕…覚醒剤密売人と接触つかんだ

[ 2021年4月29日 05:30 ]

野崎幸助さん(右)と元妻の須藤早貴容疑者(ジャーナリストの吉田隆氏撮影)
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 「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の酒類販売会社の元社長、野崎幸助さん=当時(77)=に2018年、致死量の覚醒剤を口から摂取させて殺害したとして、和歌山県警は28日、殺人と覚醒剤取締法違反(使用)の疑いで元妻の須藤早貴(さき)容疑者(25)を逮捕した。事件から丸3年を前に急転直下の展開。55歳年下妻だった須藤容疑者が整形手術を受け海外へ“高飛び”する準備を進めているとみて逮捕に踏み切ったとみられる。

 伝説のプレーボーイになぞらえた野崎さんの不審死から3年。総資産50億円と公言し「4000人の女性を抱いた」と豪語した資産家の死に関わった人物として当初から捜査員がマークしていたのが55歳下の元妻だった。

 須藤容疑者はこの日午前5時14分、都内の高層マンションの自宅のベッドに1人でいたところを県警に逮捕された。捜査員が逮捕状を示すと素直に応じたものの、うなだれていたという。午前7時前、羽田空港に姿を見せた際は男女約10人の捜査員に囲まれた時にはうつむきかげんで長い髪が表情を隠していた。その後、身柄は空路で和歌山へ移送された。

 迷宮入りするのかと思われていた怪死事件の急展開。一体なぜこのタイミングで逮捕に至ったのか。

 事件後、須藤容疑者は名前も顔も変え、引っ越しを繰り返していた。野崎さんの知人は須藤容疑者が「韓国に行って整形していた。事件前に比べてアヒル口で目がぱっちりした」と指摘。「野崎」姓を昨年2月までに「須藤」と旧姓に戻し、都内の住居も新宿区、足立区、品川区などを転々としていた。

 県警はこの動きを随時把握した上で「逮捕後に起訴を必ずできるように証拠をそろえるため3年の時間を要した」(捜査関係者)という。中でも自信を見せるのが覚醒剤の入手ルート。須藤容疑者が事件前にインターネットで覚醒剤について調べ、SNSで密売人と連絡を取り田辺市内で接触していたことをつかんだ。この日の会見でも幹部は「須藤容疑者が入手したと考えている」と力を込めた。

 県警は大型連休明けの来月9日以降の逮捕を視野に入れていたが、須藤容疑者が外国へ高飛びするとの情報をつかみ、この日早朝の逮捕に踏み切った。

 逮捕容疑は18年5月24日、野崎さん宅で、殺意を持って致死量の覚醒剤を摂取させ、急性覚醒剤中毒で死亡させた疑い。県警は認否を明らかにしていないが、事件後の任意の事情聴取に関与を否定していたとみられる。

 当初は自殺、事故、事件の3つの可能性があった。野崎さんは愛犬の葬儀を執り行う準備をしていたことから状況的に自殺はないと断定。さまざまな状況から殺人事件とみて、遺体の第一発見者である須藤容疑者を重要参考人として捜査を続けてきた。

 動機につながる可能性があるのは別れ話だ。「月100万円支払う」と約束して結婚した須藤容疑者に対して、野崎さんは不満を募らせていた。会社の元監査役に「もう別れる。話にならん。携帯ばっかりいじりおって」とぶちまけていた。親族の男性にも事件直前に「離婚しようと思う」と語っていた。須藤容疑者はたった3カ月の「お手当」で終わることを拒んでいたとされ、県警は犯行の動機にあるとみて調べている。

 ▽「紀州のドン・ファン」事件 2018年5月24日、野崎さんが和歌山県田辺市の自宅で死亡した。体内から多量の覚醒剤成分が見つかるなど不審な点があり、県警が捜査。当時、自宅にいたのは野崎さんと妻だった須藤容疑者、家政婦の3人。多額の遺産もあったため不審死として注目を集めた。また、その約2週間前に愛犬「イブ」の不審死があったことも判明。県警は関連を疑い、庭に埋葬された愛犬を掘り起こし鑑定したが、血液や臓器から覚醒剤の成分は検出されなかった。ただ、最も愛したイブの葬儀を前に野崎さんが自殺したとは考えられないことから県警が殺人事件として捜査する大きなきっかけになった。

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