医療体制より五輪!?組織委看護師500人依頼 逼迫する現場 医療労組連合会「とんでもない話」

[ 2021年4月27日 05:30 ]

新型コロナウイルスの重症患者に対応する看護師=8日、大阪府大阪狭山市の近畿大病院(同病院提供)
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 東京五輪・パラリンピック組織委員会が日本看護協会に対し、大会期間中に原則5日以上従事できる看護師500人の確保を依頼したことが26日、大会関係者への取材で分かった。新型コロナウイルスの感染拡大で看護師不足が叫ばれる中、大会に向けた医師や看護師の確保は懸案となっている。

 政府は2月の時点で、五輪・パラを通じた約2カ月間で、1人5日の参加を前提として計約1万人の医療関係者の確保を計画。組織委は必要な医療関係者の数をできる限り減らす努力を進めるとしている。武藤敏郎事務総長は理事会後の会見で「大前提として地域医療に悪影響を与えない必要がある」と述べた。

 大会が開幕する3カ月後に医療体制の逼迫(ひっぱく)が解消されているかは見通せない。大阪府は26日、924人が新たに感染。重症者用の病床が不足するだけでなく、軽症・中等症患者向け病床の使用率も約9割に到達している。ゴールデンウイーク明けからは高齢者へのワクチン接種が本格化することから、医療現場の負担に拍車が掛かることが心配されている。

 こうした医療体制の危機を踏まえ、日本医師会の中川俊男会長は慎重な立場をとってきた。五輪開催可否についてこれまで明言していないものの、来日外国人が感染した場合、受け入れ困難との考えを示している。

 日本医療労働組合連合会は「逼迫する医療現場から人材を連れていくとなれば、とんでもない話です」と強調。負担軽減のために看護師資格を持ち離職中の「潜在看護師」の活用も視野に入るが「万が一事故を起こした時に誰が責任を取るのかという問題にもなる」と反対した。高齢者施設で働く看護師の女性は「自分から率先して手を挙げることはない」と消極的だった。

 コロナ下で五輪を開催するとなれば、医療スタッフの確保は最大のアキレス腱。それにもかかわらず、丸川珠代五輪相は23日の会見で、まずは都と組織委で検討すべきと“丸投げ”。五輪ありきで医療資源が割かれる事態になれば国民の怒りは沸点に達する。

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