自民3選挙全敗で菅降ろし加速 岸田氏も総裁選レース後退

[ 2021年4月26日 05:30 ]

自民党の宮沢洋一参院議員(右)と話す岸田文雄広島県連会長
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 菅政権発足後初の国政選挙となった衆参トリプル選挙が25日投開票され、自民党は衆院北海道2区補欠選挙の不戦敗に加え、与野党対決となった参院長野選挙区補欠選挙と参院広島選挙区再選挙も落とした。総選挙の前哨戦と位置付けられる中、「政治とカネ」や新型コロナウイルス後手対応批判のダブルパンチに見舞われ全敗。今後の政権運営に影響を与えるばかりか、菅義偉首相では次を戦えないと「菅降ろし」が本格化するのは必至だ。

 公選法違反(買収)で有罪が確定した河井案里前参院議員(自民離党)の当選無効に伴う広島の再選挙。政治団体「結集ひろしま」新人の宮口治子氏(45)=立民、国民、社民推薦=が、自民党新人の西田英範氏(39)=公明推薦=との激戦を制し、初当選した。西田氏は政治への信頼回復や「クリーン選挙」を訴えたが届かなかった。

 唯一勝機があり死守が至上命令だった保守王国。首相は敗北時の責任を避けるためか応援入りしなかった。求心力はさらに低下し、緊急事態宣言発令日に政治的な緊急事態に陥った。県連会長として仕切った岸田文雄前政調会長は総裁レースで大きく後退した。

 閣僚経験者が「菅首相で決戦に臨むのか」と身構えれば、自民中堅は「選挙の顔にならないとの声が出かねない」と話した。政府関係者も「水面下でくすぶり続けていた“菅降ろし”の流れが強まるのは間違いない」と警戒感をにじませた。

 先の日米首脳会談後、バイデン大統領に関して「(今後も)一緒にやりたい」と言及し、長期政権に意欲を見せた首相。無派閥で党内基盤がぜい弱なことから、菅降ろしのリスクを回避する生き残り戦略は総裁選前の衆院解散・総選挙の挙行だ。現有議席の1割減程度にとどめ過半数は維持する“一定の勝利”を収めて、総裁選を無投票か消化試合に持ち込むというものだ。

 全敗ショックで早期解散慎重論が広がることから、決戦時期は東京五輪開催を前提にすれば、パラリンピック閉幕後の9月解散、10月投開票が有力。自民党関係者は「総裁任期は9月末だが、首相の後ろ盾である二階俊博幹事長が党を仕切っており、総裁選をずらすのは難しくない」。

 しかし、任期満了に近い追い込まれ解散の様相でもあり、首相の思い描いたように進むか不透明。永田町では首相の窮地について、現職首相が解散を封じられた70年代の「三木降ろし」の動きになぞらえて語られている。

 官邸関係者の見立てでは、解散を狙う首相の命運を握るのは最大派閥「細田派」の事実上のオーナーである安倍晋三前首相と盟友で麻生派を率いる麻生太郎副総理兼財務相。この2派がもくろむのが主流派の形成。状況次第で根強い待望論がある安倍氏の3度目の登板が現実味を増す。同関係者は「首相が見ているのは二階氏ではなく、この2人。誰よりも気を使っている」。

 全ては内閣支持率次第で「党内政局のヤマ場は7、8月」(同関係者)。ワクチン接種を確実に進め、感染を完全に抑え込んだ上での五輪成功。これが生き残りの最低条件だ。

 ▼三木降ろし 1974年12月、金脈批判で退陣した田中角栄首相の後継に、自民党の椎名悦三郎副総裁の裁定で「クリーン」が売りの三木武夫首相が就任。76年2月に発覚したロッキード事件の真相究明を図ったことなどから椎名氏ら党内実力者らが退陣要求で一致も三木氏は一蹴。世論の激しい反発もあり「三木降ろし」は不発に。同年7月の田中氏逮捕を受けた第2次「三木降ろし」でも徹底抗戦したものの、局面打開を狙って探り続けていた解散は封じられ、同年末の任期満了総選挙の敗北で退陣した(肩書は当時)。

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