大阪「見回り隊」発足 専門家は“見せしめ”懸念 店側は客離れ不安

[ 2021年4月5日 05:30 ]

新型コロナウイルスの「まん延防止等重点措置」の適用が始まる大阪・ミナミの繁華街
Photo By 共同

 新型コロナウイルス対策の「まん延防止等重点措置」が5日から大阪、兵庫、宮城の3府県に適用される。大阪市は感染防止対策の徹底を求める「見回り隊」を結成し、人海戦術を駆使して飲食店を訪れ、対策状況を確認する。店側からは「監視だ」「営業妨害」と不安視する声が上がり、専門家からは「過剰な監視行動を助長する懸念がある」との指摘が出ている。

 吉村洋文大阪府知事(45)は4日、記者団に「集中的な取り組みで何とか感染の波を抑えたい」と話した。大阪市では、5日から1カ月間「まん延防止等重点措置」が適用される。大阪府と大阪市による感染防止対策の“実行部隊”となるのが「見回り隊」だ。

 府と市の職員40~50人で組織され、初日から始動。繁華街のある北区や中央区から巡回する方向。重点措置の期限を迎える5月5日までに民間にも委託し、最終的に数百人規模で市内の約6万軒を見回るという。

 主な業務は、店内に入って府・市が要請している対策を適切に行っているかどうかの確認だ。(1)午後8時までの時短営業を守っているか(2)マスク会食が徹底されているか(3)店内にアクリル板を設置しているか(4)換気状況を把握するための二酸化炭素(CO2)濃度センサーが設置されているか――などのチェックを想定。松井一郎市長はこれまでに「協力金を支払うわけだから、適切な対策を講じているかチェックする」と説明し「いきなり行って処分はない」としている。

 若年層を中心とした飲み会やコンパの急増が感染拡大につながったと指摘されていることから、飲食店業界から「しっかり取り締まってほしい」と期待の声も上がっているが、その一方で「見回り隊」の存在を不安視する店舗は少なくない。ラウンジを今月オープンする男性(39)は「死んだ方が楽なくらい業界は苦しい。営業中に見回り隊が来たら場がしらける。妨害としか思えない」とこぼした。

 大阪市以外に重点措置が適用される仙台市、兵庫県の神戸など4市でも、飲食店の感染対策を確かめるために見回りが行われる。要請に従わない場合、3府県の知事は命令ができ、最終的に20万円以下の過料も科すことができる。

 西南学院大の中馬充子教授(応用健康科学)は「過去の感染症でも、監視や摘発が見せしめ的に行われてきた。今回も行政が“見回り隊”を組織することで、市民による過剰な監視行動を助長する懸念がある」と話す。行政と市民との信頼関係が重要とした上で「感染症対策が充実している優良店舗を探し、制限強化の対象から外すような発想の転換があってもいいのではないか」と提案した。

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