ワーケーションに向き不向きはある?実践者に聞いてみた

[ 2021年4月3日 14:11 ]

 4月から新年度になり、新たな働き方として「ワーケーション」が活発化していきそうだ。仕事(ワーク)と休暇(バケーション)を組み合わせた造語で、具体的にはリゾート地や温泉に滞在しながらテレワークを行うことを指す。普及のために政府も新規予算として約5億円を計上するなど力を注ぎ始めた。

 だが、なかなか周りで経験者がいないのが実情。「いまいちピンと来ない」という人も多いのではないだろうか。そこで実践した人にワーケーションに向いている企業と向いていない企業を聞いてみた。

 取材に応じたのは約400人全員がリモートワークを行う株式会社ニット(東京都品川区)の秋沢崇夫社長(39)。2月20~28日までの9日間、自身を含め3人で長野県を訪れてワーケーションを実施した。平日の朝は散歩で自然を堪能してから、パソコンを開いて通常業務。地元企業とサウナ対談などユニークな企画も実施した。業務を終えた後は温泉で1日の疲れを癒した。週末の休暇はそのまま現地に滞在し、スノーボードやワカサギ釣りなどご当地ならではのレジャーを満喫した。

 そのメリットについて秋沢氏は「寝食をともにして考え方をシンクロさせていくというのはまだオンラインだとなかなかしづらい。朝起きてから夜寝るまで一緒に過ごしていくと、普段の仕事に戻ってからでも相手が何を考えているのか理解が深まる。つまり、日常のテレワークでもいい影響が出てくる」と強調した。

 では、どういう企業が向いているのか。秋沢氏は「労働時間や勤務場所を当事者に任せている企業はワーケーションに向いていると言えます」とみる。一方、不向きなケースは「例えば仕事を朝9時から夕方5時までというように時間で管理している企業は残念ながら向いていない」と指摘。この管理体制でワーケーションをやってみても「単に働く場所を変えただけに過ぎません。本来得られるはずの相互理解やストレスの緩和といった効果が半減されてしまう」と語った。

 秋沢氏と長野で9日間を過ごした同社の西出裕貴さんは「テレワークを前提でやってる企業だと取り入れたほうがいいですね」と説明。普段テレワークでやり取りをしていると、画面外の会話は途切れ会話の総量は不足しがち。自身も普段は秋沢氏とリモートでやり取りしていることを引き合いに「実際に私も9日間で秋沢と普段の2カ月分ぐらいの会話ができた」と笑った。

 ワーケーションの普及を加速させるためには費用面も課題という。ニットによると、今回は9日間で宿泊費や食費、レンタカーやレジャーの代金など1人あたり計約15万円が掛かった。今回は長野県の事業の一環だったことから、交通費やオフィス使用料で補助を受けたという。秋沢氏は「ワーケーションが今後広がっていくために、企業側が福利厚生として社員に全額支給するという考えが1つある。また、業務で必要な分の補助を出すという形もあり得ると思う。テレワークが進んだ社会になったからこそ、これまでオフィスの賃料などに投じていたコストを社員に投資することで、結果的に社員のパフォーマンスが上がっていくのではないでしょうか」と見通した。

 観光庁が昨年12月~今年1月、20~59歳の会社員2000人に対して実施した調査では認知度が79%だったのに対して、実際にやったことのある人はたった4%。まだまだ浸透には時間が掛かりそうだが、新型コロナ禍でテレワークを採用する企業が増えたことからストレスケアがしきりに叫ばれているだけに、対処法としてもワーケーションは注目を浴びていきそうだ。

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