被災地の今の風景 仙台市若林区荒浜の「深沼海水浴場」…自由に泳げなくても思い出のビーチ

[ 2021年3月6日 05:30 ]

光る東北人魂(2)

仙台市若林区荒浜地区の震災遺構。浸食された地形や破壊された住宅の基礎が残されている
Photo By スポニチ

 仙台の中心部から車を東に向かって20分も走らせれば、若者たちの思い出がいっぱい詰まったビーチがあった。仙台市若林区荒浜の深沼海水浴場だ。

 砂浜に近寄るとベンチに70歳前後の3人の男性が座っていた。カメラをぶら下げていた私に「どっから来たのっしゃ!」。正直に言った。「すみません、東京からです。でも出身は仙台です。PCR検査も受けてきました」。やはりコロナ下の取材は申し訳ない。

 3メートル以上は離れた。おじさんの話は止まらなかった。若い頃は海水浴の監視員をしていたこと。海でおぼれかけていた女性に抱きつかれた楽しい思い出。同じ町内に住んでいても復興に対する意見はそれぞれだったこと。そしてついにマスクも外してしまった。

 「10年たづのに、ここはまだ自由に泳ぐことさえでぎねえんだ。どこよりも遅れているべ?見てみさい!」。視線の先は、住宅の土台だけが残された現実だった。名乗りもしない私に、缶コーヒーを黙って手渡してくれた。甘いコーヒーの香りと優しさが染みた。(高橋 雄二)

続きを表示

この記事のフォト

「松山英樹」特集記事

「騒動特集」特集記事

2021年3月6日のニュース