川淵氏降ろし→聖子五輪相担ぎ 同時進行の舞台裏、何が起きていたのか

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一夜にして急転した東京五輪・パラリンピック組織委員会の後継会長選出問題。森喜朗会長(83)から後任指名を受けていた元日本サッカー協会会長の川淵三郎氏(84)の就任は12日にご破算となったが、すぐに橋本聖子五輪相(56)の名前が浮上。本命が消えた後のドタバタなしにすぐに次の本命が報じられる異例の事態となっていた。舞台裏では何が起きていたのか――。
“川淵降ろし”と“聖子推し”が同時に起きた衝撃の“白紙劇”。異例の事態には、さまざまな思惑が交錯していた。
政界関係者は「川淵氏が11日に報道陣に森会長から後継指名を受けたことを明かして“人生最後の大役”などと語っていた裏側で、橋本氏を擁立する動きが同時進行していたんです」と語る。
森氏が10日夜、関係者を通じて打診した川淵氏選出の動き。一夜明けた11日、2人が森氏の都内の自宅で面会し、一気に本格化した。
森氏はこの面会を前にした昼前、菅義偉首相や小池百合子都知事らにも連絡するなど根回ししたが、これが“川淵降ろし・聖子推し”の引き金となった。川淵氏就任を良しとしない五輪組織委員会の遠藤利明副会長は橋本氏が候補としてふさわしいと考え、11日午前中に橋本氏に感触を確かめた。この時、橋本氏から色よい返事はなかったが、遠藤氏は本来師弟関係の森氏の川淵氏に付かず“聖子推し”に軸足を置いた。
同日昼ごろには、森氏から連絡を受けた菅首相が「もっと若い人、女性はいないか」と橋本氏を念頭に置いたかのような返答。後継指名を受けたという“密室”に加え、森氏を「相談役」で残すとも語った川淵氏には批判の声も続出。世論に敏感でもある菅首相の意向をくんだ組織委の武藤敏郎事務総長は昼から夜にかけて川淵氏を電話で何度もけん制したという。川淵氏は翌12日、会長就任を辞退する意向を述べ「武藤さんは“やめてください”と言いにくそうだったが、暗にそういう感じだった」と明かした。
今回は人事が白紙になった時に通常起きるドタバタが一切なく、「川淵氏白紙」と「橋本氏最有力」が同時に浮上する異例の事態となった。菅首相の“聖子推し”の理由を与党関係者は「五輪は政権浮揚のために成功させたい案件。“女性で若い”というキーワードは必要と考えたのだろう」と代弁。武藤氏の行動については「元財務事務次官。官僚のエリートらしく、森氏に次がないと分かったため、首相の顔色をうかがった」とみる。森氏とは異なる行動に出た遠藤氏について、自民党関係者は「根回しで動く政治家なのでワンマンの川淵氏が苦手。勝手を知っている橋本氏がいいと動きだしていた」と明かす。
急転直下の動きにはアスリートファーストの精神や国民への目線はなかったようだ。
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