千葉刑務所で93人クラスター 函館、横浜に続き…「共同室」など集団生活原因か
千葉刑務所(千葉市)で新型コロナウイルスの大規模クラスターが発生し、8日までに感染者は受刑者や職員ら計93人に上った。
同刑務所によると、今年1月8日に男性刑務官2人がPCR検査の結果、陽性反応が出た。その後1カ月で受刑者84人、職員9人まで感染が広がった。いずれも軽症か無症状。刑務所内には1000人近い受刑者が収容されており、「単独室」(独居房)か3~6人程度収容できる「共同室」のいずれかで過ごしている。感染経路は調査中だが、刑務作業や共同室での集団生活で広がったとみられる。
国内では函館少年刑務所で6日までに計20人が集団感染。横浜刑務所では7日までに計146人の感染が確認されるメガクラスターが発生した。
法務省のガイドラインによると、刑務所や少年院など「矯正施設」には特有の感染リスクが潜む。「逃走防止の観点による窓や扉の開放の困難性」「限られた空間の中での集団での作業・教育等の実施による3つの密の条件の重複」として換気がしづらく、3密になりやすい点を指摘。刑務所内に職員を一定数配置する必要があるため、テレワークにも限界があるという。
千葉刑務所の担当者は「鉄格子がついた窓を開けて換気は十分にしていた」と説明。現在はガイドラインに基づき、全ての刑務作業を中止。受刑者の大半は単独室に隔離された。点呼の際に大声を出すと飛沫(ひまつ)感染につながる可能性もあり「職員には受刑者に大声を出させないよう指示している」とした。
また、横浜刑務所では受刑者約200人が外部の刑事施設に移送されていたこともこの日判明。単独室に収容して感染拡大を防ぐためで、全国的に異例の措置という。同刑務所では受刑者がプラスチック製品の組み立て作業を行う工場などで感染が拡大した。
刑務所や少年院でクラスターが相次ぐことを受け、NPO法人監獄人権センターは感染が判明した施設の受刑者らにPCR検査を速やかに実施するよう求める声明を発表。入浴や面会の中止など影響が出ているとし「感染発生の初期段階で全収容者の検査をしていれば大規模感染を防げた可能性がある」と指摘した。
▽千葉刑務所 千葉市若葉区に位置し、収容定員1150人。初犯者向けの長期刑務所。刑務作業では高級桐たんす、みこし、漆工芸品など高い作業技術を要求される製品を生産。地下鉄サリン事件の実行犯で無期懲役判決を受けた林郁夫受刑者が服役中。出所者には早大の「スーパーフリー事件」で主犯格となったサークル代表者らがいる。赤レンガの建物は明治期の1907年に建てられ歴史的建造物としての価値が高い。
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