中曽根氏の合同葬 国立大や教委に弔意要望「気味が悪い」「時代遅れ」「感覚がずれている」

[ 2020年10月16日 05:30 ]

 政府の目に余る現場介入が、またも物議を醸している。加藤勝信官房長官は15日の会見で、文部科学省が全国の国立大などに故中曽根康弘元首相の合同葬(17日、都内)に合わせて弔意を表すよう求めた通知に関し「教育の中立性を侵さない」と述べ、問題ないとの認識を示した。教育基本法の14条は学校で特定の政党を支持したり反対したりする教育を禁じている。加藤氏は「協力を求める趣旨で、強制を伴うものではない。特定の政党支持を得るための政治活動に当たらない」との見解を表明。「弔意を表明するかどうかは関係機関で自主的に判断される」と苦しい説明に追われた。

 政府は今月2日、内閣と自民党による合同葬の当日に各府省が弔旗を掲揚するとともに、午後2時10分に黙とうすることを閣議了解。同様の方法で哀悼の意を表するよう関係機関に協力を要望した。文科省はこれに基づき、国立大や所管する独立行政法人、日本私立学校振興・共済事業団、公立学校共済組合などのトップに対し、加藤長官名の文書を添付して「この趣旨に沿ってよろしくお取り計らいください」と記した通知を出した。

 都道府県教育委員会には「参考までにお知らせします」として加藤長官名の文書を送付。市区町村教委への周知を求めた。総務省も7日付で都道府県知事や市区町村長に「政府の措置と同様の方法により哀悼の意を表するよう協力をお願いいたします」との文書を発出している。

 中曽根氏の母校である東大は「故人は東大卒業生であり、これまでの功績も踏まえ、哀悼の意を表することとしました」と要請に従う意向。だが、その一方で「気味が悪い」「時代遅れ」「感覚がずれている」などとして反発する関係機関は多い。東京都教委は14日付で都立各学校、市区町村教委に「参考周知いたします」と伝達したが「特にどうこうしろという意図はない。どうするかは現場の判断」と塩対応。世田谷区教委も「通達は届いている。各区立学校への通知はしていない」と明確に拒否姿勢を打ち出した。

 政府は今年2月に新型コロナウイルス対応として突然、全国一斉休校を要請して現場を混乱させた。9月には菅義偉首相が、日本学術会議の会員候補6人の任命を拒否し、今なお問題は沈静化していない。政府による今年3度目の教育現場への“介入”に立憲民主党などの野党は、教育の中立性に対する介入の恐れがあるとみて政府の見解をただす構えだ。

 《最高裁にも依頼》政府が最高裁にも弔意表明の協力を依頼していたことが15日、分かった。最高裁は全国各地の裁判所にこの依頼を通知している。内閣府は協力を依頼する事務次官名の文書を2日付で最高裁宛てに出した。最高裁は8日付で各地の高裁、地裁、家裁などに「内閣府事務次官から別添の通り協力の依頼がありました」との文書を送った。

◇教育基本法
 第14条 良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない。
 2 法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。

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