菅新首相“叩きのめされ内閣”誕生 「脱派閥」掲げ改革意気込むも…「こんなはずじゃなかった」

[ 2020年9月17日 05:30 ]

初閣議後、記念撮影に臨む菅義偉首相(前列中央)と閣僚ら
Photo By 共同

 自民党の菅義偉総裁(71)は16日、衆参両院本会議での首相指名選挙で第99代首相に選出された。皇居での首相任命式と閣僚認証式を経て自民、公明両党連立による菅内閣が発足した。前内閣から閣僚11人を引き継ぎ、再入閣は4人、初入閣は5人。人選では新首相として独自色を打ち出すどころか、組閣の舞台裏では青木幹雄元参院議員会長、森喜朗元首相らに叩きのめされていた。

 菅首相は就任後初の記者会見で「国民のために働く内閣をつくります」と強調。デビューの舞台に晴れやかな表情を浮かべたが、舞台裏では出はなからさまざまな横やりに阻まれていた。新内閣の全容が固まった15日夜、首相は周囲に「こんなはずじゃなかった」とこぼしたという。

 脱派閥人事を掲げ、改革色を前面に出すはずだったが、党総裁選での自身の圧勝を支えた派閥の論理に、結局は押し込まれた格好だ。フタを開ければ党内全7派閥の勢力に応じてポストを配分。内訳は、細田派5人、麻生派3人、竹下派、二階派、岸田派各2人、石破派、石原派各1人、無派閥3人となった。

 人事を巡る攻防は、首相が14日に党総裁に選出された前後から本格化。主戦場は後任となる官房長官だった。首相の本命は「梶山弘志経済産業相」(周辺)。師事した故梶山静六氏の長男で、自身と同じ無派閥とあって「菅カラー」の打ち出しには最適だった。

 だが、政界引退後も、竹下派や参院で隠然たる力を振るう青木氏が目をかける加藤勝信氏の官房長官起用に向けて動いた。最大派閥の細田派に影響力を持つ森氏も援軍に回った。2人はともに2000年に病で倒れた小渕恵三首相の後継人事をホテルで話し合った「5人組」のメンバーで「往年の派閥政治で活躍した80歳すぎの議員バッジもない妖怪」(無派閥議員)。首相は15日午後「加藤氏では破壊力が足りない」とあらがう姿勢を示したが大勢は決していた。

 肝いりの携帯電話料金引き下げなどの改革の切り込み役になる総務相人事でも待ったがかかった。首相に近い森山裕国対委員長や河野太郎氏の名が浮上したが党側が反発。執行部や族議員を中心に「うるさ型の河野氏に口を出されるのを嫌った」(麻生派幹部)。混乱の中、二階俊博幹事長が国家公安委員長だった二階派の武田良太氏を横滑りで押し込み、ベテラン平沢勝栄氏の初入閣にも成功した。

 首相はブレーンの竹中平蔵慶応大名誉教授や三木谷浩史楽天会長兼社長、新浪剛史サントリーホールディングス社長らの入閣を一時、検討したが「党内には優秀な議員がたくさんいる」と二階氏が否定的で断念。叩き上げが叩きのめされて迎えた船出。かじ取りを不安視するささやきが早くも漏れ始めた。

続きを表示

この記事のフォト

「三浦春馬」特集記事

「薬物問題」特集記事

2020年9月17日のニュース