菅新内閣16日発足 官房長官に加藤現厚労相起用方針も…過去には“ご飯論法”答弁で批判

[ 2020年9月16日 05:30 ]

官房長官に起用される加藤氏の答弁能力には不安の声も上がっている
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 自民党総裁に選出された菅義偉官房長官は、16日に発足する新内閣で官房長官に加藤勝信厚生労働相(64)を起用する方針を固めた。党内随一といわれる実務能力の持ち主だが、論点をずらす“ご飯論法”などを使った答弁で国民の怒りを買ったこともある。菅氏は16日の衆参両院本会議で首相指名を受け、新内閣を発足させる。

 “ポスト菅”には、菅氏と気心の知れた加藤氏が選ばれた。2012年12月発足の第2次安倍内閣では官房副長官を務め、官房長官の菅氏と2年10カ月間コンビを組んだ。「省庁間の縦割り打破」を政治テーマに掲げる菅氏の肝いりで14年創設の、内閣人事局の初代局長でもある。

 加藤氏はこの日夜、記者団に「(菅氏と)同じようなことはとてもできないと思ったが、できるだけのことはしたい」と述べた。

 有力候補として森山裕国対委員長(再任)や萩生田光一文部科学相(再任)らの名前も挙がる中、「12年の党総裁選と政権スタート時に苦労を共にした」(自民党筋)ことが官房長官登用につながったとの見方が出ている。

 菅氏は14日の会見で、ポスト菅に求める資質を「いろんな要素がある。総理との組み合わせもそうだが、そうしたことを全体的に考え、総合的に力がある人が一番落ち着くのではないか」と述べた。

 財務官僚出身らしい手堅い手腕で知られ「番頭役に最適」(自民党幹部)。安倍晋三首相に近く、党内での評判は「実務能力は随一。仕事ぶりは緻密でそつがない」と折り紙付きだ。

 ただ、不安材料もある。論点をずらす“ご飯論法”を使うなど、のらりくらりとした答弁が国民を混乱させることも多い。

 記憶に新しいのは、新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言下の5月11日の衆院予算委員会で出た「誤解」発言。保健所への相談の目安として示した「37・5度以上の発熱が4日以上」が基準のように捉えられたとして、この文言を削除する際に加藤氏は「我々から見れば誤解」と述べた。これには「国民や保健所の理解不足とする責任転嫁だ」などの批判が相次ぎ国民の怒りを買った。

 所属する竹下派の議員は「財務官僚時代から、自分たちを守るために責任回避する物言いが染み付いている。無難に話しているつもりでも危なっかしい。1日2回の会見は心配しながら見ることになりそう」と指摘する。

 そもそも新型コロナ対策の陣頭指揮を執る厚労相でありながら、西村康稔経済再生担当相の方が目立つ現状に疑問の声もある。菅氏の周辺では「信頼する人間を右腕としたのは分かるが、加藤氏の答弁が政権運営を左右することにならなければ良いが」と不安も広がっている。

 ▽ご飯論法 論点をすり替える話法の一つ。例えば「朝ご飯は食べたか」との質問に「ご飯(白米)は食べていない(パンは食べた)」などと質問側の意図をあえて曲解し、回答をはぐらかす。18年5月、法大・上西充子教授が加藤氏の答弁に関してツイッターに投稿。命名のきっかけとなった。この年の新語・流行語大賞のトップ10に選出された。

 《加藤氏の「ご飯論法」》
 ▽2018年1月31日参院予算委員会 新設される高度プロフェッショナル制度に関し「現裁量労働制対象の方々からあった意見の記録は残っているのか?」との質問に「記録を残す、あるいは公表するということを前提にお話をされたものではございません。そうしたフランクな話を聞かせていただくということは大事なこと」と答弁。記録の有無については答えず。

 ▽同3月2日参院予算委員会 高度プロフェッショナル制度の法案に関し「4週間で最初の4日間さえ休ませれば、あとの24日間は24時間連続で働かせるような危険性が法律上、排除されているのか?」との質問に「働かせるということ自体がこの制度になじまない。そういう仕組みになっていない」と答弁。法律上、排除されているかどうかについては答えず。

 ◆加藤 勝信(かとう・かつのぶ)1955年(昭30)11月22日生まれ、東京都出身の64歳。79年に東大卒業後大蔵省(現財務省)へ。98年参院選、2000年衆院選の落選を経て、03年衆院選(比例中国ブロック)で初当選。09年から岡山5区。当選6回。安倍政権では一億総活躍相なども歴任。趣味はセーリング、オートバイ。座右の銘は「一点素心」。家族は妻、娘4人。

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