“伝説のゲーセン”「ミカド」 存亡危機乗り越え「出禁解除」に向けて準備着々

[ 2020年6月9日 05:30 ]

東京・高田馬場のゲームセンター「ゲーセンミカド」でゲーム実演の動画を配信する関係者
Photo By 共同

 新型コロナウイルス感染再拡大を警戒する東京アラートが2日に発動されて1週間が経過した。都の休業要請が解除されず苦境に立たされる業界の1つがゲームセンターだ。「伝説のゲーセン」と称される「高田馬場ゲーセンミカド」(新宿区)の運営本部長を務める深町泰志さん(46)は「店が再開したらお客さんは戻ってきてくれると信じている」と力を込めた。

 店内には「グラディウス」など往年の名作から格闘技ゲームなど約220台のゲーム機がひしめくが、電源は落ちたまま。アニメ「ドラえもん」の初代声優で知られる大山のぶ代さん(86)がかつて保有し、同店に寄贈したブロック崩しゲーム「アルカノイド」も眠り続けている。従業員らが再開に向けてメンテナンス作業や清掃などを続けている。

 都の休業要請を段階的に緩和するロードマップはステップ2に移行後は足踏みが続く。感染状況がなかなか回復しないためだ。ゲームセンターを含むステップ3への移行は依然として不透明。「法的拘束力はないものの、営業再開は大手の動向を見ながらになる」と深町さんも悩ましい表情を浮かべた。

 再開準備は着々と整えている。マスク着用、消毒器の設置やゲームの筐体間の間仕切りに加え、換気の方法も考えた。窓を開けた際にカーテン越しから光が漏れてしまうと、筐体の画面に反射してプレーの妨げになりかねない。そのため、太陽の光が店内に差し込むかを調べて、太陽の位置で開放する窓を変えることも検討しているという。

 日本で感染が広がる以前の高田馬場店は平日で1日約500人、週末には1000人超が来店していた。格闘技ゲームのトッププレーヤーも通っているため、海外からも“猛者”たちがやってきて腕試し。趣向を凝らしたイベントも毎日開催しゲームファン以外からも熱視線を集めていた。

 だがコロナ禍が直撃。3月の売上は平常時の50~70%減。4月から休業が続き池袋店とともに実店舗の売り上げはゼロになった。

 存亡の危機を乗り越えるために3つの“ボタン”を押した。

 まずはクラウドファンディング。4月以降に予定していた新事業計画を前進させるため4月10日に開始。すると、2000万円の目標額を1日経たないうちに突破。最終的に3872人から約3700万円が集まった。深町さんは「目標額を上回った分の1700万円は店の運転資金に活用させていただいている」と多大な支援に感謝は尽きない。

 2つめはユーチューブを通じた動画配信。無人の店内などから連日のように新しいゲーム動画などを投稿。「スーパーチャット」と呼ばれる視聴者からの“投げ銭”や24時間生配信なども取り入れた。広告収入などのオンラインを活用した事業の収益は休業前に比べて約3倍に伸びたという。

 そして3つめは物販。名物店長の池田稔氏が休業を前に4月7日に「お前ら全員出禁」と過激な表現で来店自粛を呼びかけ、大きな反響を集めた。これがきっかけとなり「出禁Tシャツ」など新たにグッズを製作。委託先で販売した。こうして新たな施策を展開したことで平時の5割ほどの収入をカバーすることに成功。「ゲームセンターの新しいビジネスモデルを模索する期間になった」と深町さんは休業期間を前向きにとらえた。

 一方で、東京で感染が広がっている地域として「新宿エリア」が名指しされていることには不安がよぎる。歌舞伎町(新宿区)のホストクラブなど夜の街関係者の間で感染が続いており「新宿という言葉が広がると、同じ新宿区にあるうちが再開しても“新宿だから”と考えて来店をちゅうちょするお客さんがいるかもしれない」と課題を口にした。

 励みになっているのは常連客らから寄せられるメッセージの数々だ。「ミカドが再開したらゲームをやるために貯めていた100円玉をクラウドファンディングに回したという方もいました」と頭を下げた深町さん。池田店長の言葉にあやかって「“出禁”解除を」と願う声も届いているという。

 スマホゲームや家庭用ゲームなど在宅では味わえない熱気が「ミカド」には充満していた。「年齢も性別も関係ない。ここは誰でもヒーローになれる場所ですから」と深町さん。晴れて再開できた際には、万全の体勢でお客さんを迎え入れるつもりだ。

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