“国内初クラスター”風評乗り越え…屋形船、3カ月半ぶりの再出発「頑張らなきゃ」

[ 2020年5月30日 05:30 ]

営業を再開した「船清」の屋形船(撮影・村上 大輔)
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 「国内初のクラスター」として2月半ばに全国ニュースとなった東京・品川の屋形船「船清」が約3カ月半ぶりに営業を再開し、女将は29日、本紙の取材に「再開できてうれしい。これから良い季節なので多くの人に来てほしい」と語った。都は「屋形船が発生源でないのは明白」としているが、当時はキャンセルや批判が相次いだ。やっとたどりついた船出に女将は「3密対策をしっかりしてやっていきたい」としている。

 「ずっと大変な毎日でした。とにかく再開できてうれしい」女将の伊東陽子さん(67)から笑みがこぼれた。当初は30日に予定していた再開を「乗りたいと言ってくれる人がいる」と28日に前倒しした。この日は「予約の電話が鳴らないね」と苦笑いしつつも、屋形船7隻が並ぶ桟橋で従業員に指示する声には張りがあった。

 屋形船の利用客に新型コロナ感染者が出たことを巡り、感染ルートが独り歩きした3カ月半だった。

 都は2月13日、屋形船で1月18日に行われた新年会に参加したタクシー運転手が感染したと発表。最終的に、従業員を含む11人の感染者が船内から見つかった。3日前の1月15日、船清は中国人ツアー客を乗せたが、伊東さんはツアー会社に感染者がいないことを確認。だが都は「感染した従業員は中国からの旅行者との接触歴がある」と発表。この説明が、中国客から屋形船の従業員、そして運転手へ広がったとする経路を印象づけた。

 小池百合子知事が3月12日に「屋形船が発生源ではないのは明白」と打ち消したが、船清はキャンセルや批判にさらされた。風評被害は払しょくしきれず、今年秋までの予約はほぼ取り消され、伊東さんによると経済損失は「2億円」。一番の稼ぎ時である花見シーズンも過ぎた。「船を全部売り、感染者に補償しろと脅迫まがいの電話もあった」と振り返った。

 だが、窮状を脱するためにクラウドファンディングで資金を募ったところ、189人から300万円以上が集まった。

 「復活を期待しています」など、桟橋に貼られた支援者のメッセージを指でなぞり「応援してくれる人がいると元気が出ます。頑張らなきゃ」と目を潤ませた。再開にあたり、船内や桟橋の各所に除菌噴霧器を設置し、船内は席を約3割に減らして運航する。

 「屋形船は、景色を見ながら海や潮風を体で感じられるのが良い。これから良い季節。3密対策は万全。多くのお客さまが来てくれたらいいですね」。伊東さんは再開の喜びをかみしめるように語った。


 ◆「船清」の再開まで
 ▼今年1月15日 中国人ツアー客が乗船
 ▼同16日 国内初の感染者を厚労省が確認
 ▼同18日 団体客が新年会を実施
 ▼2月13日 新年会に参加した男性の感染を東京都が発表
 ▼同14日 男性従業員の感染が判明
 ▼3月12日 小池百合子都知事が「屋形船は発生源でないことは明白」と発言
 ▼同30日 業界団体が小池知事に風評被害払しょくへの協力や支援を要請
 ▼4月7日 東京都を含む7都府県に緊急事態宣言発令
 ▼5月25日 全都道府県で緊急事態宣言を解除
 ▼同26日 都のロードマップで屋形船は「飲食店」扱いとなり営業再開可能に
 ▼同28日 営業を再開

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