出口が見えない…安倍首相 緊急事態宣言31日まで延長表明も“解除目安”設定せず

[ 2020年5月5日 05:30 ]

 安倍晋三首相は4日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、6日が期限だった「緊急事態宣言」に関して全都道府県を対象としたまま今月31日まで期間延長すると表明した。宣言解除の目安となる目標値は口にせず、国民にとっては出口が見えない状況。東京都、大阪府など13の「特定警戒都道府県」以外の34県を念頭に置いた「新しい生活様式」も発表され「横並びで食事」という驚きの指針が示された。

 会見場に入ると、マイクの前に立ってマスクを外した安倍首相。約1カ月に及ぶ国民の自粛生活について「終息に向けた道を着実に前進している」と効果を強調しつつ、緊急事態宣言を31日まで延長するとした。理由について「感染者の減少は十分なレベルとはいえない。医療提供体制がひっ迫した地域もみられ、当面現在の取り組みを継続する必要がある」と説明した。

 先月7日に発せられた緊急事態宣言。首相は「1カ月で(感染拡大を)抑えることができなかったことを、国民の皆さんにおわび申し上げたい」と頭を下げた。ただ、国民が知りたい「解除の目安となる具体的な目標や数値」は示さなかった。

 唯一言及したのは新規の感染者の数。それも感染から回復する人が「1日100人を超える」とした上で、医療崩壊を防ぐためには「(新規感染者が回復者の)水準を下回るレベルまで減らす必要がある」との回りくどい表現だった。

 国内の感染は縮小局面に入ったとの見方が強く、1人の感染者が何人にうつすかの平均値「実効再生産数」は、4月10日の全国平均で0・7まで下がった。1を下回れば感染は減少に転じるとされ、感染症の専門家は「海外なら緊急事態宣言を解除するレベル」と指摘している。

 「直近の実効再生産数はいくつなのか」との声も上がる。専門家会議は人手不足を理由に示せないとしており、首相も「1を下回った」と話すだけだった。

 首相が訴える「最低7割、極力8割の接触削減」が感染拡大の防止に必要なことは多くの国民が理解している。ただ達成のために「何をどこまでやればいいのか」がこの日の会見では分からなかった。

 経済活動は停滞し、東京商工リサーチによると新型コロナ関連の経営破綻は1日時点で計114件。「ホテル・旅館」「飲食」「アパレル」と、外出制限によって影響を受ける3業種が多い。そんな中で、首相は前日3日には憲法改正を力強く訴えるなど、相変わらずのKYぶり。国民が求めているのは明確な指針だ。


《西脇京都府知事「目標の数値を」》
 京都府の西脇隆俊知事は4日、記者団の取材に応じ「どうなれば(感染が)終息したと言えるのかは、十分に示されていない。目標となる数値について示していただくよう、引き続き強く申し上げていきたい」と述べた。ただ延長自体については「基本的に妥当」と評価した。一方、京都市の門川大作市長は「気が緩めば危ない。今は“3密”の回避や外出自粛を徹底して要請していきたい」と述べた。


 《森永氏「完全な失敗」「国民の苦痛は限度を超える」》
 識者からも疑問の声が上がった。経済評論家の森永卓郎氏は「政府が4月7日に出した緊急事態宣言は完全な失敗だった。感染の実態を調べないまま飲食店の営業自粛などを求める賭けに出たが、東京はいまだに感染拡大が収まっていない」と指摘。「このままでは中小企業などの倒産がバタバタと増え、国民の苦痛は限度を超えるだろう」とした。

 国際政治学者の三浦瑠麗氏は「国民は既に危機意識を持っており、解除されても自ら感染予防ができるはずだ。延長が本当に必要とは思えない」とし「専門家会議の意見だけに偏らず、経済と併せて対策を考えるべきだ」と続けた。

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