エイズ治療薬で新型肺炎改善 来日中の中国人に効果 実用化には数年か

[ 2020年2月7日 05:30 ]

 国立国際医療研究センターは6日、国内で新型コロナウイルスの感染が確認された患者3人の治療経過を公表した。1人はエイズ治療薬を投与した後、症状に改善傾向がみられたとしている。国内で患者治療の詳細が明らかになるのは初めて。同センターは、感染初期は喉の痛みや微熱しかないことがあり、症状から診断するのは困難との見解を示した。渡航歴の聴取が重要としている。

 治療を行った3人は中国湖北省武漢での滞在歴がある中国人と、40代と50代の日本人男性。検査で感染が確認され、同センター内の病院で治療を受けた。いずれも重症ではない。

 中国人は1月20日に来日した後、38度以上の発熱があり30日に肺炎と診断された。同日から海外でも試験的に使われているエイズ治療薬「リトナビル」と「ロピナビル」の服用を開始。呼吸困難もみられたことから酸素の補給もした。その後は悪化することなく、2月3日には37度まで熱が下がった。

 日本人男性2人は38度以上の高熱が出たが、呼吸の状態は悪くなかったため入院して経過観察となった。

 中国の研究チームの発表では、新型コロナウイルスが細胞に感染する時に利用する“鍵穴”が、重症急性呼吸器症候群(SARS)のウイルスと同じ。日本で使われた2種類のエイズ治療薬はSARSウイルスに効果があったとされており、タイでも新型肺炎の重症患者に投与されて症状が改善したとの報告がある。

 感染症対策に詳しい医療関係者は「今回投与された薬は吐き気や嘔吐(おうと)、下痢などいろいろな副作用が出やすい。症例が少なくリスクは伴うが、中国人の男性に対しては症状の重さを鑑みて投与したのだろう。効果があった可能性はある」と指摘した。一方、新薬としての実用化には一般的に数年がかかる。SARSのワクチンでは、開発途中でSARSが終息した経緯があり、国内の製薬企業は巨額な開発費の支出に二の足を踏む。実用化への道のりは長い。

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