緊迫の中東 安倍首相 歴訪スタート 永田町は冷ややか「何ができるのか」

[ 2020年1月12日 05:30 ]

 イラン軍は11日、首都テヘランで8日に墜落したウクライナ機について、軍が誤って撃墜したと認める声明を発表した。同機の技術的なトラブルが原因の事故だとしていた主張を異例の撤回。情勢の緊張激化が懸念される中で安倍晋三首相は同日、中東歴訪をスタートさせた。永田町では「何ができるのか」と冷ややかな見方が出ている。

 イラン軍の声明によると、防衛システムが同機を敵と誤認したという。人的ミスによる撃墜で故意ではないと強調し、イラン国民や犠牲者の遺族に謝罪の意を表明した。

 ロウハニ大統領は「許されない過失」とする一方で米軍の「脅迫と威嚇」に直面し厳戒態勢下で起きた人的ミスだと釈明、有力司令官を殺害し緊張を高めた米国を非難した。撃墜を認め、異例の謝罪に踏み切りつつ、米国の責任を印象付ける狙いがある。

 トランプ米大統領が8日「我々は軍事力を使いたくない」などと声明を発表したことから全面衝突は回避されたとみられたが、緊張が再び高まる可能性が出てきた。そんな情勢の中でスタートした安倍首相の中東訪問。サウジアラビアに11日に到着し、アラブ首長国連邦(UAE)、オマーンの中東3カ国へ歴訪予定だ。出国前、羽田空港で「地域の緊張緩和、情勢安定化のために日本ならではの平和外交を粘り強く展開する」と語った。

 政府内では歴訪を延期すべきとの意見も出ていた。だが、海上自衛隊P3C哨戒機2機の中東地域への出発のタイミングだっただけに、永田町関係者は「自身だけが歴訪を取りやめると批判されるため、実行した」との見方を示す。国内で「桜を見る会」やIR汚職問題などを抱えていることから「ここで“外交のアベ”をアピールしたいとの思惑もあった」と語る関係者もいる。

 そんな中、イランが撃墜を認め、米国を非難したことから「緊張がさらに高まり、日本はますます蚊帳の外になった」との指摘が永田町界わいで広がった。昨年6月には日本の首相として41年ぶりにイランを訪問したが成果を残せなかっただけに今回も「何ができるのか?」という批判が出ている。

 12日には、サウジのサルマン国王との首脳会談に臨む。イランと対立関係にあるサウジに対し中東地域の緊張緩和に向けて役割を果たすよう促したい考えだ。だが、単なるパフォーマンスで終わる懸念が高まっている。

 《海自哨戒機2機、中東へ出発》海上自衛隊のP3C哨戒機2機は11日、中東海域での情報収集活動に当たるため、那覇航空基地(那覇市)を出発した。河野太郎防衛相による派遣命令を受けた第1陣で、20日から現地で活動を始める。防衛省設置法の「調査・研究」に基づく初の海外への長期派遣。期間は約1年。米国とイランの対立により緊張が続く中の派遣で、野党などの反対も根強い。第2陣の護衛艦「たかなみ」は2月2日に出航し、下旬に活動を開始する。派遣規模は哨戒機と護衛艦を合わせて260人程度となる。

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