中村哲医師、標的にされていた?武装集団“外国人の支援活動萎縮”が目的か

[ 2019年12月6日 05:30 ]

 アフガニスタン東部ナンガルハル州で農業支援などに携わっていた福岡市の非政府組織(NGO)「ペシャワール会」現地代表の医師中村哲さん(73)が殺害された事件で現地警察は5日、武装集団が中村さんを狙った可能性が高いとみて捜査を始めた。目撃証言から事件の詳細な様子も明らかになってきた。

 アフガニスタンに平和が訪れることを信じ、人道的支援を続けていた中村さん。警察は、知名度のある中村さんを殺害することで、外国人の活動の萎縮を狙った可能性があるとみている。

 事件を目撃した地元男性によると、中村さんを襲った武装集団は男4人前後。男らは2台の車に分乗して現場近くのレストランにやって来た。中村さんの車がレストランに近づくと、男らは駆け寄って車の両側から銃撃を始め、最初にボディーガードを殺害した。男性は、男の一人から「こちらに来るな」と怒鳴りつけられ、レストラン内に隠れた。

 銃声がいったん途絶えると「誰も生きていないな」と中村さんらの生死を確認する声が聞こえ、その後、さらに複数回の銃声が聞こえた。男らは「終わった。行くぞ」と話し、車で去った。男らはスカーフなどで顔を覆っておらず、アフガンで一般的な民族衣装「シャルワル・カミーズ」を着用していたという。

 男らは中村さんの車を待ち伏せしており、通行ルートを事前に確認した上で、強い殺意を持って襲撃した計画的犯行とみられる。

 現地では、支援活動を行う外国人を狙う事件が相次いでおり、関係者によると、中村さんらは襲撃を警戒して、毎日移動ルートを変えるなど細心の注意を払っていた。通常は警備車両と一緒に移動していたが、事件当日は自分の車だけで移動していたことも警察などへの取材で判明。警察は、警備手薄な移動時を狙ったとみて捜査している。中村さんは、18年にアフガン政府から勲章を授与され、今年10月には名誉市民権を授与されている。これがテロ組織の反発を買ったとの見方もある。

 ナンガルハル州では反政府武装勢力タリバンなどが活動している。過激派組織「イスラム国」(IS)も活動していたが、ガニ大統領は11月、同州でのISの「壊滅」を宣言。今月1日までの1カ月でIS戦闘員や家族ら1000人以上が政府に投降し、弱体化が指摘されていた。

 ▼中村さんのアフガンでの活動 91年アフガン東部ナンガルハル州に診療所を開設。00年に大干ばつが発生し、水不足で感染症がはびこったことを受け、日本人の若者ボランティアらを募って井戸を掘り始める。03年には用水路建設に着手。河川工学を学び、高価な機械がなくても人力でできる工法を試行錯誤した。ペシャワール会は08年には貧困層の子供や孤児の養育を目的にイスラム神学校の建設も開始。中村さんは現地スタッフを陣頭指揮。日本からの寄付などを元手に水路建設、植樹、土地の開墾を続け、雇用創出にも一役買ってきた。

 《遺族ら現地へ》「ペシャワール会」事務局は中村さんの妻尚子さん(66)と長女秋子さん(39)、現地の状況を知る会関係者の計5人が5日夜、福岡空港を出発し、羽田経由でアフガンの首都カブールに向かったと明らかにした。事務局によると、現地時間6日午後2時半(日本時間同7時)ごろ、カブールに到着する。家族は遺体とともに日本時間9日午前に福岡空港へ戻る予定だ。葬儀は司法解剖終了後になる見込み。来年1月~2月に「お別れの会」を開くことにしている。

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