釜石市 復興へ“スクラム”!残る台風爪痕…戦う姿にもらった勇気「何度でも組み直し、少しずつ前へ」

[ 2019年10月21日 05:30 ]

お手製のグッズを持参し応援するファン(撮影・岸 良祐)
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 ラグビーW杯で史上初めて8強に進出した日本が惜しくも南アフリカに敗れた20日、全国各地でパブリックビューイング(PV)が行われ、岩手県釜石市では、台風19号による爪痕が残る中、市民が声援を送り続けた。

 釜石市民ホールに設置されたファンゾーン。ノーサイドが告げられると、会場を埋めた市民ら5006人から一斉に惜しみない拍手が送られた。

 仙台市から故郷に駆け付けた自営業の富田智子さん(49)は4年前の南アフリカ戦の大逆転劇を信じて声をからして「釜石人の血が騒いだ」と興奮冷めやらぬ様子。公務員の高松寧さん(58)は「日本に1トライはしてほしかったが、これで終わりじゃない。これからの4年間の始まりだ」と前を向いた。

 東日本大震災の壊滅的な被害から8年。復興の象徴として招致に成功したW杯は予定していた2試合のうちナミビア―カナダ戦が台風19号の影響で中止になった。「復興とともにあった釜石のW杯の半分は新たな自然の猛威で中止となりました」。運営関係者はファンゾーンの会場のホワイトボードにこんなメッセージを書いた。

 爪痕はまだ残る。市が水害対策のために総事業費46億円をかけた新型の排水ポンプ場が6月に整備されたものの、水路に土砂や流木が詰まり、排水が追いつかずに水が市街地にあふれた。自宅アパートが浸水したタクシー運転手の50代女性は「期待していたのに役に立たなかった」と憤る。震災の津波被害から復旧し今年3月に全線開通した三陸鉄道も一部運休したままだ。

 市民の活力になったのがラグビーだった。試合が中止になったカナダ代表が泥かきなどボランティアに駆けつけ被災した市民を激励。会社員の20代男性は「本当に勇気づけられた」と感謝を忘れない。ファンゾーンの担当者によると、先月20日のロシア戦の921人に対し、この日は5倍以上の観客が駆け付けた。

 「どれだけ後戻りさせられても、再び立ち上がって前へ進む…まさにラグビーと同じなのかもしれません」「何度でもスクラムを組み直し、少しずつ前へ進みましょう」。ホワイトボードに記されたメッセージはこう結ばれていた。会場は「ニッポン」コールに続いて「カマイシ」の大合唱。復興に向けて一歩ずつ進み続ける。(岸 良祐)

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