台風19号、86年「8・5」教訓の治水対策上回る猛威…「もう福島を傷つけないで」

[ 2019年10月16日 05:30 ]

「ここまで水があがりました」を越え、2階付近まで水が…
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 【スポニチ福島支局員ルポ】台風19号による大雨で東日本では7県52河川73カ所の堤防が決壊し、水害や土砂災害など大きな被害をもたらした。15日時点で12都県73人の死亡が確認されたが、最も多い26人の犠牲者が出たのが福島県だ。過去の水害をはるかに上回る雨量で連鎖氾濫した阿武隈川流域は、一面泥まみれとなっていた。

 「ここまで水があがりました」。33年前の水害の脅威を伝える約2メートルの青い標識を、はるかに越えていた。今回の台風で阿武隈川水系の塩野川が氾濫し、濁流にのまれた伊達市梁川町。泥まみれの日用品をゴミ袋に詰める山田美津子さん(66)は「8・5の時は、かもいのところでしたが、今回は2階まで水が上がった」と嘆く。

 「8・5」とは1986年8月5日のことだ。台風が襲い阿武隈川が氾濫し、19人が犠牲になるなど福島県に大きな被害をもたらした。その際の教訓を生かし「平成の大改修」が行われ、堤防の高さを上げるなどの対策が進められてきた。住民の誰もが「8・5」水害を超える大雨が降るとは予想していなかった。

 阿武隈川の堤防は、支流の水が本流に流れずに逆流する「バックウオーター現象」で決壊が多発したとみられる。堤防の高さなどは、過去の雨量データなどから計画されるものだが、福島大共生システム理工学類の川越清樹教授は「今回の雨量は想定を超えてきた。今後、想定値をさらに上げる必要がある」とし早急な対策を求めた。

 梁川町では市道が複数箇所が通行止めになっている。路線バスが相次ぎ運休、国公私立小中学校や高校の118校が休校になるなど、住民は不自由な生活を強いられている。

 郡山市では、安積町日出山の帝京安積高で職員総出の復旧作業が始まった。台風が襲った13日未明には「1階は人の胸ぐらいまで水が押し寄せた」と栗原暁校長(59)は話す。水浸しになった職員室は全ての電子機器が使えなくなり、休校を余儀なくされている。廊下にたまった水をかき出しながら、栗原校長は「今は人手が欲しい」と訴えた。

 7人が亡くなった本宮市ではJR本宮駅近くの「みずいろ公園」が泥で茶色に変わっていた。人間の身長の高さをはるかに超える木の上の方に流されてきたであろうゴミがいくつも引っかかっている。

 福島の真ん中を流れる阿武隈川。その流域の「中通り」では北は伊達市から中央部の本宮、郡山市、そして南の白河市まで連鎖した氾濫が被害を大きくした。

 3・11から地震、津波、原発事故、風評という複合被害にいまだ悩まされている中、台風の被害まで。自然の脅威には逆らえないが、「もう福島を傷つけないでほしい」と強く願った。

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