「山に囲まれて台風が来ない」想定超える自然災害への対策の難しさ

[ 2019年10月14日 05:30 ]

 【スポニチ長野支局長現地ルポ】浸水に続いて停電で明かりが消えた。暗闇の中で「ゴー」と音がする。2階から懐中電灯で道路を照らすと、見る見るうちに水位が増す。「水の音と濁った色が怖くて。のみ込まれたら助からない。何も考えられなくなった」。そう振り返ったのは堤防が決壊した穂保地区から自衛隊のヘリコプターで救助された68歳の女性だった。

 暮らして50年という自宅に独り暮らし。向かいの友人宅に避難も「浸水なんて一度もなかった。軽く見ていた」という。友人ともども猫を飼い、避難勧告にも「避難所はペット禁止」とためらった。

 長野支局に赴任して3年。「山に囲まれて台風が来ない」という説に根拠があるのか確認したことはなかったが、信じている人は多かったように思う。穂保に隣接する津野地区から避難した長谷川真澄さん(66)も「40年ぐらい住んでいるけど、経験がない。準備もしなくて甘かった」と漏らした。避難を促す連絡で夜中に目覚め、玄関に向かって浸水に気付いた。ビールの段ボール箱を積み上げたが、あっという間に2階に向かう階段の途中まで水が迫ったという。

 一夜明けた長野市の中心部は晴天の下でほぼ日常通りの生活があった。浸水地帯へは車で20分程度。救助のヘリコプターが飛び交った中、数十年に一度という自然災害に備えることの難しさを感じずにはいられなかった。(長野支局長・東 信人)

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