吉野彰氏、ノーベル化学賞受賞!リチウムイオン電池開発 企業人が日本人27人目の快挙

[ 2019年10月10日 05:30 ]

ノーベル化学賞の受賞が決まり、リチウムイオン電池の模型を手に笑顔の吉野彰旭化成名誉フェロー
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 スウェーデンの王立科学アカデミーは9日、2019年のノーベル化学賞を旭化成名誉フェローで名城大教授の吉野彰氏(71)ら3氏に授与すると発表した。授賞理由は「リチウムイオン電池の開発」。誰もが手にするスマートフォンやノートパソコンに使われ、情報化社会を支える成果として高く評価された。日本人のノーベル賞受賞は27人目。ノーベル化学賞は9年ぶり8人目となった。

 東京都千代田区の旭化成本社で吉報を受けた吉野氏。快挙を分かち合った社員から万雷の拍手で祝福され、「めでたく受賞することができました」と満面の笑みで報告した。

 情報化社会を支える身近な「リチウムイオン電池」を開発。スマートフォンやノートパソコンに使われ、モバイル時代を切り開いた。プラス極とマイナス極の間をリチウムイオンが移動して充電や放電する仕組み。乾電池など使い捨ての1次電池と異なり、何度も充電して使える蓄電池で2次電池とも呼ばれる。王立科学アカデミーからは「生活に革命をもたらし、人類に偉大な貢献をした」と称賛された。

 吉野氏が開発を始めたのは81年。85年には旭化成社内で開発されていた特殊な炭素材料がマイナス極として抜群の性能を示すことが分かり、これを使い電池を開発。現在のリチウムイオン電池の原形となった。

 企業人ならではの苦しみも大いに味わった。「発売後3年は全く売れず精神的に追い詰められた。開発費がかさんで、真綿で首を絞められるような感じだった」。転機は95年。「ウィンドウズ95」の発売に始まるIT革命の波に乗り、小型で大容量の電池という社会的ニーズに後押しされる形で普及した。現在では電気自動車や小惑星探査機はやぶさ2など活用分野の幅は広い。地球温暖化対策の切り札としても再び脚光を浴びている。

 研究者として必要なものには「柔軟性と執着心」を挙げた。「剛と柔のバランスをどう取るか。かたいばかりだとめげる。柔らかいばかりだと前に進まない。大きな壁にぶち当たった時も“まあ、何とかなるわね”と」。

 10年以上前から候補者として名前が挙がったが、昨年まで受賞には至らず。それでも周囲には「ノーベル化学賞は(電池などの)デバイスの開発者にはなかなか順番が回ってこない。回ってきたら獲りますよ」と自信を見せていた。

 会見では、自身の発明について「最初に広く使われたのがガラケー(携帯電話)」と語った一方、「私は携帯に拒否感があって5年前まで使っていなかった」と驚きの告白で笑いを誘った。授賞式は12月10日にストックホルムで開かれ、賞金900万クローナ(約9700万円)が贈られる。

 ◆吉野 彰(よしの・あきら)1948年(昭23)1月30日生まれ、大阪府吹田市出身の71歳。70年京都大工学部石油化学科卒、72年京大大学院工学研究科を修了し、旭化成工業(現旭化成)に入社。電池材料事業開発室長などを経て、03年に同社フェロー。17年から名誉フェロー、名城大教授。04年に紫綬褒章受章。

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