吉野彰氏ら3氏にノーベル化学賞 リチウムイオン電池を開発

[ 2019年10月9日 18:52 ]

ノーベル化学賞の受賞が決まり、笑顔で記者会見する吉野彰旭化成名誉フェロー
Photo By 共同

 スウェーデンの王立科学アカデミーは9日、2019年のノーベル化学賞を旭化成名誉フェローで名城大教授の吉野彰氏(71)ら3氏に授与すると発表した。スマートフォンなどに広く使われるリチウムイオン電池を開発し、現在の情報化社会を支える成果として高く評価された。

 日本人のノーベル賞受賞は27人目で、昨年、医学生理学賞に選ばれた本庶佑京都大特別教授(77)に続く快挙。化学賞は10年の鈴木章北海道大名誉教授(89)と根岸英一米パデュー大名誉特別教授(84)以来で8人目。

 共同受賞は、米テキサス大オースティン校のジョン・グッドイナフ教授(97)ら。グッドイナフ氏はノーベル各賞を通じ最高齢受賞となる。

 リチウムイオン電池は何度も充電して使える2次電池。正極と負極の間をリチウムイオンが移動して充電や放電する。吉野氏は1980年代、炭素材料の負極とコバルト酸リチウムの正極を組み合わせ、基本的な構成を確立した。

 リチウムイオン電池は90年代に商品化され、小型軽量で高性能のためスマホやノートパソコンなどモバイル機器の普及に貢献した。旅客機やハイブリッド車に使われるほか、再生可能エネルギーの拡大にも役立ち、用途は拡大を続けている。

 授賞式は12月10日にストックホルムで開かれ、賞金900万クローナ(約9700万円)が贈られる。

 日本人のノーベル賞受賞者は今年の吉野彰氏を含め医学生理学賞5人、物理学賞11人、化学賞8人、文学賞2人、平和賞1人の計27人。長崎県出身の英国人作家カズオ・イシグロ氏を含めると日本出身の受賞者は28人となる。

 ▽湯川 秀樹氏(ゆかわ・ひでき)49年物理学賞、故人。素粒子論で中間子を予言。
 ▽朝永 振一郎氏(ともなが・しんいちろう)65年物理学賞、故人。量子力学のくりこみ理論。
 ▽川端 康成氏(かわばた・やすなり)68年文学賞、故人。「伊豆の踊子」「雪国」など。
 ▽江崎 玲於奈氏(えさき・れおな)73年物理学賞。半導体でトンネル効果を実現。横浜薬科大学長。
 ▽佐藤 栄作氏(さとう・えいさく)74年平和賞、故人。非核三原則に基づく外交。
 ▽福井 謙一氏(ふくい・けんいち)81年化学賞、故人。化学反応のフロンティア軌道理論。
 ▽利根川 進氏(とねがわ・すすむ)87年医学生理学賞。免疫抗体の多様性を解明。米マサチューセッツ工科大教授。
 ▽大江 健三郎氏(おおえ・けんざぶろう)94年文学賞。生命と寓話が凝縮した世界を創造。
 ▽白川 英樹氏(しらかわ・ひでき)00年化学賞。導電性プラスチック開発。筑波大名誉教授。
 ▽野依 良治氏(のより・りょうじ)01年化学賞。不斉合成法を開発。科学技術振興機構センター長。
 ▽小柴 昌俊氏(こしば・まさとし)02年物理学賞。超新星からのニュートリノ観測。東京大特別栄誉教授。
 ▽田中 耕一氏(たなか・こういち)02年化学賞。タンパク質の質量分析技術を開発。島津製作所シニアフェロー。
 ▽南部 陽一郎氏(なんぶ・よういちろう)08年物理学賞、故人。米国籍。自発的対称性の破れの理論。
 ▽小林 誠氏(こばやし・まこと)08年同。6種類のクォークを予言。高エネルギー加速器研究機構特別栄誉教授。
 ▽益川 敏英氏(ますかわ・としひで)08年同。小林氏と共同受賞。名古屋大特別教授。
 ▽下村 脩氏(しもむら・おさむ)08年化学賞、故人。緑色蛍光タンパク質を発見。
 ▽鈴木 章氏(すずき・あきら)10年化学賞。クロスカップリング反応を開発。北海道大名誉教授。
 ▽根岸 英一氏(ねぎし・えいいち)10年同。鈴木氏と共同受賞。米パデュー大名誉特別教授。
 ▽山中 伸弥氏(やまなか・しんや)12年医学生理学賞。iPS細胞を開発。京都大教授。
 ▽赤崎 勇氏(あかさき・いさむ)14年物理学賞。青色LEDを開発。名城大終身教授。
 ▽天野 浩氏(あまの・ひろし)14年同。赤崎氏と共同受賞。名古屋大教授。
 ▽中村 修二氏(なかむら・しゅうじ)14年同。赤崎氏と共同受賞。米国籍、米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授。
 ▽大村 智氏(おおむら・さとし)15年医学生理学賞。熱帯感染症の特効薬開発。北里大特別栄誉教授。
 ▽梶田 隆章氏(かじた・たかあき)15年物理学賞。ニュートリノの質量発見。東京大教授。
 ▽大隅 良典氏(おおすみ・よしのり)16年医学生理学賞。細胞内のリサイクルの仕組み「オートファジー(自食作用)」を解明。東京工業大栄誉教授。
 ▽カズオ イシグロ氏(かずお・いしぐろ)17年文学賞。記憶と時間、自己欺瞞をテーマに、書くたびに新分野を開拓。長崎出身の英国人作家。
 ▽本庶 佑氏(ほんじょ・たすく)18年医学生理学賞。免疫細胞で働くタンパク質「PD1」を発見。京都大特別教授。
 ▽吉野 彰氏(よしの・あきら)19年化学賞。リチウムイオン電池の開発。旭化成名誉フェロー。

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