韓国がジーソミア破棄 北中ロと連携か 日本政府は抗議、米国解決促す声明

[ 2019年8月23日 05:30 ]

 韓国政府は22日、日本と結んでいる軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄することを決めた。日本の対韓輸出規制強化を元徴用工問題への報復と捉え、対抗措置として決めた。歴史問題による日韓の対立の影響は、通商分野から安保協力に拡大。日韓関係のさらなる悪化は必至となった。

 韓国大統領府は、日本の対韓輸出規制強化が「両国間の安保協力環境に重大な変化をもたらした」と強調。協定維持が「韓国の国益にそぐわないと判断した」と表明した。24日までに日本政府に通告する。日本政府は韓国に外交ルートを通じて抗議した。

 GSOMIA(ジーソミア)は日韓が防衛に関する秘密情報を共有するルールを定めたもの。2016年11月、韓国の朴槿恵前政権時代に締結され、1年ごとに更新されてきた。破棄する場合は更新の90日前までに書面で相手方に通告する必要があり、24日が更新するかどうかの判断の期限だった。協定破棄により、日韓間の機密情報の共有には困難が生じるが、日韓双方が情報の一体化を進めている米国を介した情報共有は進められる。韓国の協定破棄は象徴的な意味合いが強いとの指摘もある。

 ただ、協定破棄の政治的インパクトは大きい。北朝鮮が短距離弾道ミサイルなどの発射を繰り返す中、協定が終了すると日米韓の連携に悪影響を与える恐れがあるとして、日本と米国は韓国に協定の継続を求めていた。今月上旬には米エスパー国防長官が文在寅大統領と会談し、協定の継続を働きかけた。この呼び掛けを韓国は無視した形で、米国が激怒する可能性もあり、韓国は経済的にも政治的にも、今まで以上に孤立することになる。

 それでも韓国が協定破棄に踏み切ったのはなぜか。来年に総選挙を控える文政権としては、日本には安易に譲歩しにくい状況だった。さらに、コリア・レポート編集長の辺真一氏は「文政権が重視しているのは南北関係。北朝鮮は対話拒否の姿勢を崩していないが、協定の破棄決定で南北の対話が再開し、関係が好転する可能性があると考えている」と指摘する。

 日本外交筋は「確かなのは一番喜ぶのは北朝鮮、そして中国とロシアだ」と断言。永田町関係者は「これでは北朝鮮の思うつぼだ。韓国は北朝鮮や中国、ロシアとの連携を考えているのではないかとすら思ってしまう」と話した。

 《米、解決促す声明》トランプ米政権は22日、韓国による日韓の協定破棄にまで発展した両国の対立激化に懸念を強めた。これまで政府高官を派遣するなど関係改善に努めてきたが、効果的な方策は見いだせておらず、対応に苦慮している。

 国防総省の報道官は22日、声明を発表し「日韓に意見の相違を早く解決するよう促す」と表明。「日米韓が友好的に結束すれば北東アジアはより安全になる。情報共有は共通の国防政策や戦略を立案する上で鍵となる」と指摘し、GSOMIAの必要性を強調した。

 ◆軍事情報包括保護協定(GSOMIA)国や機関同士で軍事上の機密情報を提供し合う際、第三国への漏えいを防ぐために結ぶ協定。秘密保全の対象は軍事技術だけでなく、戦術データや暗号情報、高度のシステム統合技術など広範囲に及ぶ。日本は米国や北大西洋条約機構(NATO)、フランス、オーストラリアなどと同種の協定を結んでいる。

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