“優先当選権”あるが…「鳥取・島根」「徳島・高知」合区選挙区「特定枠」のジレンマ 

[ 2019年7月10日 05:30 ]

高野光二郎氏の出陣式で演説する特定枠候補者の三木亨氏(手前右)と、代理出席した高野氏の妻(同左)
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 連日、各陣営の候補者が声を張り上げる中、すでに実質「当確」の候補者がいる。今回の参院選から導入された比例代表の「特定枠」の候補者だ。党内で“優先当選権”が与えられるもので、自民からは2人がこの枠で出馬。比例で2議席以上獲得することは確実であることから“公示即当選”の状態だ。ただ自身を売り込む選挙活動ができないなど制限もある。先のことを考えれば自身の名前を売れないジレンマもある。

 「鳥取・島根」合区選挙区に立候補した自民党の舞立昇治氏は5日、島根県内での第一声を上げた。その横に「特定枠」の三浦靖氏の姿があった。

 「今日は舞立候補の応援に駆けつけていただいてありがとうございます。自分は個人の選挙活動ができず、唯一できるのが舞立候補の応援で、私に課せられた唯一の使命です」

 出てくるのは舞立氏の名前ばかり。自身の政策を訴えたり、自身への投票を呼び掛けることなく演説を終えた。

 特定枠の候補者は公職選挙法の規定で、自身の選挙運動は原則的に認められていない。たすきを掛けることや選挙カーの利用、演説会も禁止。事務所を構えたり、ポスターを貼ることもできない。

 この特定枠の導入は、合区選挙区に関連している。2016年参院選から隣接県を統合した「鳥取・島根」「徳島・高知」合区選挙区が誕生。候補者を擁立できない県が出ることから、救済を目的として自民党案を基に制度ができた。自民は今回、両合区のそれぞれ1名を特定枠として立候補させた。

 三浦氏が地盤とする島根の自民党関係者は「本人の選挙運動はできませんが、合区の選挙区からの候補の応援は全力でやらないといけない」と話す。島根県内での合区候補者への票などが、今後の自身の党内での評価に直結するためだ。永田町関係者は「選挙を一生懸命手伝わないと次は支援しないという、党からの見えないプレッシャーのようなものもある」と話した。

 特定枠に慣れない三浦氏陣営も手探り状態。応援の演説でも自身の名前は名乗らず、ウグイス嬢が肩書を紹介するという。

 「なるべく名前を隠している」というのは「徳島・高知」合区の特定枠候補、三木亨氏。徳島県が地盤だ。特定枠の候補者名で投票すると政党への有効投票と見なされる。陣営は「(三木の名前を書いた)得票が多いと他の比例代表候補から“優先的に当選するのに”と批判を受けかねない」と気をもんでいる。「寝ていても当選する」とやゆする声もあるが、2013年に初当選した三木氏には6年後の25年まで選挙の機会がない。「自分の名前を覚えてもらえないという不安はある」。“優先権”と引き替えのジレンマを明かした。

 ▽合区 議員1人当たりの有権者数が選挙区ごとに異なるため生じる「1票の格差」が最高裁で違憲と判断されたことの是正を狙い、2016年参院選から隣接県を統合した「鳥取・島根」「徳島・高知」の2つの合区選挙区が誕生した。それぞれ改選数は1。

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