豊洲市場 寂しい年末 仲卸売り場一般客出入り禁止で静寂

[ 2018年12月31日 05:30 ]

年内営業最終日を迎えた豊洲市場の水産仲卸売り場。昨年までの築地市場に比べれば、訪れる人は少なめ
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 【激動2018政治社会(14)】10月に開場した東京都江東区の豊洲市場が30日、初めての仕事納めを迎えた。例年、買い物客らがあふれた市場の風景は、一般客の立ち入りを制限したことで様変わり。業者からは「寂しい」との声も上がり、業者らは試行錯誤しながら新天地と向き合っている。一方、旧築地市場の場外市場は昨年と変わらぬ人出でにぎわった。

 豊洲で迎える初めての年末。マグロ仲卸「鈴与」の3代目、生田與克(よしかつ)社長は「移転でいろいろあったが、みんなで乗り越えられて、とりあえずホッとした」と胸をなで下ろした。

 一方で「予想外」もあった。毎年多くの人でごった返した水産仲卸売り場は、プロの業者の出入りが一段落した昼前には余裕を持って歩けるほど。一般客の出入りを原則禁止としたためで「雰囲気的には寂しい年末」だったという。

 旧築地市場では早朝の繁忙時を除き、一般客が仲卸売り場に入ることができた。一般向けの販売が収支を支えていた店もあった。都は同売り場を一部開放する方向だが、安全や衛生との兼ね合いもあり、模索が続く。

 老朽化した築地市場に代わり、10月11日に開場してから2カ月半。業者らは慣れ親しんだ“築地の流儀”の変革を迫られている。

 11月には、業者が運転する小型運搬車ターレの荷台に乗った女性が転落して、重体となる事故が発生。荒々しい運転で市場を走るターレは、築地の活気の象徴でもあったが、時速8キロの制限速度や「荷台は乗車禁止」の場内ルールを守れば、事故は防げた可能性もある。

 水の使い方も違う。雑菌の繁殖を防ぐため、豊洲は水の使用を極力減らす前提で排水溝を細めに設計。国際衛生基準「HACCP」に沿ったものだが、大量の水を使い多少の生ゴミも流せた築地と同じ感覚で使った業者が、排水溝を詰まらせた例もある。タバコのポイ捨ても問題だ。

 業界団体幹部は「よくも悪くも“築地の文化”を持ち込んだ」と指摘。ただ、改善傾向にあり「新施設を大事にして“豊洲の文化”をつくろうという意識を感じる」と期待する。

 豊洲は衛生管理や温度管理などが進歩した分、収支は年間100億円近い赤字との試算がある。生産者と直接取引をする小売店が増え、市場自体の存在意義の低下も指摘される。

 だが卸と仲卸が介在する市場システムが流通の中核にあるのは変わらない。生田さんは「市場があるから、野菜や魚が店や家庭に安定供給できる。場所が変われば働き方を変える必要もあるけど、きちんとした仕事をすればブランドはついてくる」とプライドをのぞかせた。=この項終わり=

 ≪大にぎわいの築地≫旧卸売市場に隣接し約460店舗が軒を連ねる築地場外市場は30日、正月用の買い物に訪れた家族連れや観光客でにぎわった。昼すぎには身動きがとりづらいほどの混雑に。築地食のまちづくり協議会副理事長で、卵焼き店「本玉小島」代表の小島英朗さんは「年末は例年と変わらない。移転後は普段のお客さんは少し減ったけど、誰でも入れる市場として今後も続けていける感触はある」と話した。一部店舗は31日も営業する。

 市場跡地は2020年東京五輪・パラリンピックで関係者用の駐車場になるが、その後は未定。小池百合子都知事は当初「築地は守る、豊洲は生かす」として、跡地に市場機能を持たせて再開発する方針を表明。だがその後「市場を取り巻く環境が変わり、試算し直している」と話し、都は今年度中に正式案をまとめるとしている。一方で移転に反対し解体中の旧市場内で現在も営業を続ける人もおり、年末まで買い出しツアーが組まれた。

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