晴れ着トラブル 被害者救った老舗に客足戻る「やっぱり安心」

[ 2018年12月20日 05:30 ]

「いわきや」横浜本店の店内
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 【政治社会 激動2018(4)】今年1月の成人の日に晴れ着トラブルを起こした振り袖の販売・レンタル業「はれのひ」(破産)の元社長篠崎洋一郎被告(56)。当時雲隠れして世間から猛バッシングを浴びた同被告は19日、粉飾決算で銀行から融資金を詐取したとして詐欺罪に問われ、横浜地裁で懲役2年6月の実刑判決を言い渡された。立件されなかったものの晴れ着トラブルについて「詐欺だと言われても仕方がない。一生、取り返しのつかないことをしてしまった」と謝罪した。

 騒動時に浮かび上がったのは、無謀な店舗拡大による“青田買い”の常態化。振り袖の購入やレンタルの早期予約を電話勧誘で促し2年前に100万円を入金していた被害者までいた。横浜市や東京都八王子市の新成人のうち約2000人が晴れ着を着られず、被害は約3億4500万円に上った。

 1980年代に「2兆円産業」と言われた呉服市場だが、矢野経済研究所によると、2017年の市場規模は2710億円まで縮小した。右肩下がりの市場の中で成人式は最大の稼ぎ時。勧誘競争が激化する中、業界関係者は「改めて会社の信用力が問われる契機になった」とみる。

 客足に変化が起きたのは老舗呉服店だった。横浜市に本店を置く創業120年の「いわきや」女将の我妻あけみさん(61)は「今期はおかげさまで順調です」と明かす。成人式早朝にツイッターで被害者受け入れを表明し、被害に遭った10人を着付けして式へ送り出した。騒動が沈静化し、来年以降の成人式で予約に訪れる客からは「やっぱり安心」との声が寄せられている。

 客の中には別の業者から勧誘されて「早く予約しなければ」と心配する人もいるが「“あまり焦らなくても大丈夫ですよ”と声を掛けている」と説明。実際、取材当日に来店していた新成人の母親によると、11月に振り袖を同店で予約し、来年1月の成人式に間に合ったという。

 「呉服店はお客さまと一生のお付き合い。非常に幸せなお仕事をさせていただいてます」と我妻さん。騒動が教訓になり、老舗の信用力を評価する動きは今後も広がりそうだ。

 ○…22年4月から新成人年齢が18歳に引き下げられることによって、市場は大きな転換点を迎える。業界団体は受験シーズンに重なることなどを考慮し、各自治体へ20歳での開催を要望。一方、リユース着物の最大手「たんす屋」(東京山喜)の中村健一社長は前向きで「(施行後初となる)23年は2〜3学年が一度に成人式を迎える特需が来る」と見込む。スマートフォンを使った新サービスを計画中で「変化を難儀ととるかチャンスととるか」と先を見据えた。

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