ゴーン日産会長逮捕 報酬50億円以上過少申告か 解職提案へ

[ 2018年11月20日 05:30 ]

逮捕された日産自動車のカルロス・ゴーン会長(AP)
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 日産自動車(横浜市)のカルロス・ゴーン会長(64)が4年間で約100億円の報酬を得ながら、その半分の約50億円と過少申告していた疑いが強まり、東京地検特捜部が19日、金融商品取引法違反の疑いで逮捕した。日産は、ゴーン容疑者が会社の資金を、自宅の購入や私的に流用するなど複数の重大な不正行為があるとし、解職を22日の取締役会に提案すると明らかにした。

 これまで約10億円もの高額年俸に批判の声が上がっていたゴーン容疑者が実際には2倍もの報酬を得ていたことが発覚した。日産のピンチを救った「コストカッター」は、自身の報酬は大幅カットして申告しただけでなく、私的流用の疑いまで浮上している。

 この日、ゴーン容疑者が羽田空港に到着直後に動きだした逮捕劇。東京地検特捜部は共謀したとして、代表取締役のグレゴリー・ケリー容疑者(62)も逮捕した。

 日産はゴーン容疑者らが不正行為をしていると内部通報を受け数カ月間にわたり調査。その中でケリー容疑者が深く関与していたことも判明した。同容疑者の解職も取締役会に提案するとしている。

 2人の逮捕容疑は共謀し、ゴーン容疑者が2015年3月期までの5年間に計約99億9800万円の金銭報酬を受け取ったのに、計約49億8700万円と過少に記載した有価証券報告書を関東財務局に提出した疑い。日産はゴーン容疑者の自宅の購入代金を全額負担しており、それを報酬として計上していなかった疑いもある。

 三菱自動車も代表取締役会長職を解くことを取締役会に提案すると発表し、不正行為がなかったか内部調査を行う。仏自動車大手ルノーも近く取締役会を開催する。会長兼最高経営責任者の解職を議論するとみられる。

 ゴーン容疑者は1999年、深刻な経営危機に陥った日産にルノーから派遣されて最高執行責任者(COO)となり、2000年に社長に就任した。経営再建策「日産リバイバルプラン」を掲げ、工場閉鎖や2万人を超える従業員を削減するなど大胆なリストラや、徹底した費用削減を進めた。99年3月末には2兆1000億円あった実質的な有利子負債を、03年3月時点で解消するV字回復を成し遂げた。

 一方で、電気自動車を開発するなど魅力あるクルマづくりにも尽力。ただ00年代後半には日産が再び低迷期に入り、ゴーン容疑者の手法に「弱肉強食的」「コストカットなら誰でもできる」との批判も上がり始めた。

 17年には社長を退き、前年に傘下とした三菱自動車も含め、日産、ルノーの3社の会長に就任。17年度は3社から総額約19億円の役員報酬を受け取っていた。

 日産・ルノー・三菱の3社連合は、17年の世界販売でトヨタを抜き2位に浮上。連合をめぐり、ルノーに15%を出資するフランス政府はルノー優位の経営統合を求め、日産側が警戒を強めていたとされる。このタイミングでの内部告発に「3社連合の行方についてゴーン容疑者を懸念する声が上がっていた」とする関係者もいる。ゴーン容疑者は10月、日産や三菱の子会社化を否定していたが、この綱引きにも注目が集まる。

 ≪11〜15年度役員報酬、実際は20億≫11年度から5年間は毎年約20億円の役員報酬を受け取っていたことが分かったゴーン容疑者はこの期間、有価証券報告書には実際より10億円前後も少なく記載していた。昨年度は7億3500万円で、前年度から約3億6000万円減少。上場企業の1億円以上の役員報酬の開示制度が始まった10年3月期以降、最も少ない金額だった。

 ▽有価証券報告書の虚偽記載 株式など有価証券を発行した企業は、財務などの情報を公開するため有価証券報告書を作成。業績や経営方針、役員ごとの報酬額を記載する必要がある。投資家の重要な判断材料となるため、金融商品取引法は、虚偽記載をした場合、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方を科すと規定。代表者らが違反した場合、法人に対して7億円以下の罰金を科すという両罰規定がある。

 ◆カルロス・ゴーン 1954年3月9日生まれ、ブラジル出身の64歳。少年期をレバノンで過ごし、パリ国立高等鉱業学校を卒業。78年に仏タイヤ大手のミシュラン入社。96年にルノー副社長に就任し、99年に同社と資本提携した日産自動車の最高執行責任者に就任。2000年から社長、01年から17年まで最高経営責任者を務めた。

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