【イマドキの仕事人】旧友との再会、未来に広がる輪に アシストする同窓会プランナー

[ 2018年11月19日 05:30 ]

埼玉の県立高校の同窓会でカメラマンを務める「同窓会プランナー」の多胡晋太郎氏
Photo By スポニチ

 旧友と再会する同窓会の楽しさは、いつの時代も変わらない。ただ、幹事をするとなると話は別。連絡先が分からない同窓生も多く、出席の確認にも一苦労だ。そんな幹事の仕事を代行する「同窓会プランナー」がいる。SNSも駆使して参加者集めをアシストし、日程・会場を調整。スポンサーを付けて会費を抑えるオプションも用意している。

 秋の深まる土曜日の午後。さいたま市・大宮駅近くのイタリアンダイニングで開催されたある県立高校の同窓会に、同学年458人のうち101人が集まった。52、53歳の男女が再会を喜び合う中、彼らより二回り近く年下の多胡晋太郎(30)は会の受付から参加者側幹事との打ち合わせ、写真撮影と忙しく動き回っていた。

 同窓会プランナーは「幹事の面倒な仕事を一手に引き受ける」のが仕事だ。会は出席者有志による素敵なエンディングムービーでお開きに。店を出る際、幹事から「多胡さんのおかげでここまで集まれた。ありがとう」と感謝の言葉をもらい、胸が熱くなった。

 多胡は同窓会幹事代行サービス会社「笑屋(しょうや)」で、プランナー約10人をまとめるリーダー。自身もプランナーとして幹事と相談し、案内状は郵送とメールのどちらがいいか、会場は高級感のあるホテルかカジュアルなレストランかなどアドバイスする。校歌を歌うなど、定番の企画もあるが「特に初めての同窓会では、じっくり話したい人が多い。歓談を長めにすることを勧めている」と話した。

 案内状の送付や当日の受付、会費集めなどを引き受ける多胡にとって、仕事の醍醐味(だいごみ)は会の冒頭にある。何十年ぶりに顔を合わせた同級生が「あ、久しぶり!」「ずっと会いたかったよ〜」と表情を崩す瞬間。「同窓会ならではの光景で、お手伝いして良かったと思います」と語った。

 同窓会の開催には特有の難しさがある。個人情報保護の流れで、卒業アルバムに連絡先が載らなくなった。そして幹事の最大の悩みは突然のキャンセル。多胡の会社では、1人7000〜1万円ほどの参加費から3割程度を手数料として受け取る一方で「出席者数が減っても、1人分の会費が上がらないことを売りにしてます」。ドタキャンが続き出席者が約10人に減ってしまい、大赤字になることも。「いかに参加率を上げるか」が、プランナーの腕の見せどころだ。

 モチベーションを上げ参加者を増やす最大の武器が、SNS上に立ち上げるコミュニティーサイト。「メンバーに思い出話や写真をどんどん投稿してもらい、雰囲気を盛り上げていきます」。連絡先を知っていれば誰でも同級生を招待でき、参加者が芋づる式に増えていく仕組み。同窓会開催後にもサイトは残り、会で撮影した写真を大量に掲載したり、飲み会に誘い合うなど、交流が続いていく。

 最近は「スポンサー付き同窓会」も増えている。出席者の中の飲食店経営者や一般企業に、審査を経てスポンサーになってもらう。SNSへのバナー広告掲載や、会の途中にCMのように「PRタイム」を設けたり、試供品やチラシの配布を許可。スポンサー料で会費を下げたり、恩師へ記念品を贈呈する資金を捻出することもできる。懸念されるスポンサーへの参加者情報の提供は一切なし。同社は「プライバシーマーク」を取得し、個人情報の管理を徹底している。

 高校生までサッカー一筋だった多胡は教師を目指し、大学は教育学科で学んだ。だが「生徒限定ではなく、より多くの人の幸せに貢献したい」と考え、旅行会社に就職。その後アプリ制作会社を経て、異業種交流会で今の会社の代表に出会った。最初は「同窓会業だけでやっていけるのか」と疑問を抱いたものの、「人の“過去”のコミュニティーを活性化したい」という代表の考えに共感。2度目の転職を決意した。

 今後は同窓会と、自身が熱中したサッカーなどのスポーツをリンクさせたビジネスも考えていきたいという。「人と話して、人の笑顔を見ることが何よりも楽しい」。未来の新しい出会いと同じように、素敵な「過去との出会い」をプロデュースしていく。 =敬称略=

 《社員の平均年齢27歳》多胡が所属する笑屋は2009年創業で、社員の平均年齢が27歳と若い。北海道から沖縄まで全国の同窓会を扱っておりビジネスとして成立させるため、対象は100人規模の学年全体の同窓会に限定している。全国に同業他社は20社ほどあるといい、共通の呼称はないものの「同窓会プランナー」としてほぼ定着しているという。

続きを表示

この記事のフォト

「紅白歌合戦」特集記事

「羽生結弦」特集記事

2018年11月19日のニュース