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2歳児、4日目に発見 「ぼく、ここ」の声にベテランボランティアが発見

搬送先の病院で取材に応じる藤本理稀ちゃんの母美緒さん
Photo By 共同

 山口県周防大島町家房で12日から行方が分からなくなっていた同県防府市の藤本理稀(よしき)ちゃん(2)が15日午前6時半頃、不明になった場所に近い山中で68時間ぶりに無事見つかった。大分県日出町のボランティア尾畠春夫さん(78)が名前を呼びながら捜索していると「ぼく、ここ」と元気に返事。長年被災地復旧や行方不明者捜索に携わってきた尾畠さんの知恵と経験が生かされた奇跡の救出劇だった。

 理稀ちゃんが見つかったのは、帰省していた曽祖父宅の北東側の山中。

 「まさくーん!まさくーん!」

 名前の読み方は間違っていたが、尾畠さんの必死の叫びが届いた。

 「ぼく、ここ」

 声が返ってきた沢の方向に進むと、うっそうと生い茂る木々の下に、Tシャツ姿で下半身裸の理稀ちゃんがいた。わずかに流れる水につかり、石の上に座っていた。頭には木の葉が何枚も付いていた。

 「頑張ったね!」と渡したアメをガリガリかじる姿に、尾畠さんは「これは大丈夫」と安心。リュックから取り出したバスタオルでくるみ、下山した。理稀ちゃんに大きなケガはなく、虫刺されや擦り傷がある程度。脱水症状があり、今週は入院が必要という。

 発見現場は曽祖父宅から約560メートル。家の前の道を標高約100メートルまで上った地点。落石や落ち葉で足元は悪かった。不明当時に着用していた海水パンツとサンダルは近くで見つかった。県警はこれまでの捜索でも発見現場周辺を確認していた。山中を迷った末にたどり着いた可能性があるとみて、歩いたルートを調べる。

 尾畠さんはこの日、午前3時半に起床。午前6時ごろ単身入山。「上に上にと上るのが子供の習性」と、海側ではなく山中に分け入った。長年培ってきた勘。捜索開始から約30分後、理稀ちゃんを発見した。

 前日14日に車で現地入り。理稀ちゃんの家族と会い「見つけたら必ず抱きしめ、じかにお渡しする」と強い決意を伝えていた。

 15日午前7時すぎ、約束通り家族に引き渡した。祖父正憲さん(66)は「ありがとうとしか言えないが、それだけじゃ足りない」と尾畠さんに感謝し、固く握手。母美緒さん(37)は「生きて会えると思っていなかった面もある。目を開いてこっちを見たときは胸がいっぱいになった」と声を震わせた。

 理稀ちゃんは救出後、バナナ1本とゼリーを食べ、りんごジュースを飲んだ。病院で少しでも美緒さんと離れると「おかあちゃーん」と手を伸ばした。不明中の13日が2歳の誕生日だった。元気になったら好物のアイスクリームでできたケーキを振る舞うという。

 《パニックを起こさぬ末っ子のたくましさ》「いくつもの奇跡が重なって生存につながったが、子供の生命力は凄い」と話すのは、福田医院(横浜市)の福田伴男院長だ。2歳児が生きるのには1日最低1〜1.2リットルの水と、1000キロカロリーが必要だとし「幼児が沢に口を付けて水を飲んだり、野草を選んで食べることは考えづらい。3日間は何も口にしていなかったはず」と指摘した。

 現地はこの3日間、最高気温がいずれも30度超え。生き延びた理由について(1)木陰や沢がある比較的涼しい場所にいた(2)パニックを起こさなかった(3)あまり動かなかった――などを挙げる。(2)については「周囲が真っ暗になると、人は恐怖心が強くなりパニックを起こし、無用に動いてしまう。それで体力を消耗し、衰弱してしまう」。理稀ちゃんが4人きょうだいの末っ子だったことで「精神的にたくましかったのではないか」と話した。

[ 2018年8月16日 05:30 ]

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