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麻原 弟子と同時死刑執行で神格化の恐れ 江川紹子氏 今後の影響を懸念 

1995年9月25日、警視庁に移送されるオウム真理教の松本智津夫死刑囚
Photo By 共同

 坂本堤弁護士一家が行方不明となった1989年から教団の取材を続ける、江川紹子氏(59)が7人の同時死刑執行がもたらす影響について思いを語った。

オウム真理教の教祖であり、一連の組織犯罪の首謀者である麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚の執行は当然だ。しかし、6人もの弟子を同時に執行したのには、衝撃を受けた。

 松本死刑囚の精神状態を問題視する人もいるが、彼は自分の裁判では、意味不明なことをつぶやいたり、居眠りをしたりする一方、弟子たちの裁判に証人として呼ばれたときには「うそをつかない」という宣誓の意味を理解したうえでこれを拒否するなど、自身を防御する合理的な行動を取っていた。

 事件に真摯(しんし)に向き合わず、事実を語らないのは、彼自身の意思に基づくもの、とした裁判所の判断は納得できる。

 ただ教祖との関係が特に濃密で、教団省庁制の“大臣”を務めた、井上嘉浩死刑囚ら6人を選んで同時執行したのは残念だった。

 今の教団が「尊師と一緒に転生した高弟」として彼らを神格化する物語をつくりあげ、教祖への忠誠心をあおることに利用されるのでは、と懸念する。

 また、彼ら“高弟”たちはカルトによる未曽有のテロ事件の生き証人であり、今後のカルト問題やテロ事件の防止のために格好の研究対象だった。真面目な若者が心をからめ捕られ、殺人の指示まで唯々諾々と従った心理状態などを専門家が研究するなど、将来に向けての教訓を学び尽くす必要があったのではないか。

 米国からは、テロの研究者が来日して死刑囚に面会したこともあった。肝心の日本でそのような動きがないまま、死刑執行により生き証人が失われるのは残念だ。

 現教団などには、一連の事件を「でっち上げ」などとして事実を否定する動きがある。

 今後、全ての死刑が執行され、生き証人が失われれば、そのようなデマや陰謀論がますます出回り、事件を知らない若い世代に影響を及ぼす懸念もある。

 事実を後世に正しく伝える努力が必要だ。そのためにも、全てのオウム真理教事件の裁判記録を保存し、できるだけ早く公文書館に移管するなどして、研究者やジャーナリストなどが活用できるようにすべきだ。 (フリーライター)

[ 2018年7月7日 05:30 ]

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