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【イマドキの仕事人】自分史活用アドバイザー 終活だけでなく自分知るための自分史

自宅兼会社のリビングで自分史用のインタビュー取材に臨む小出広子氏(左)。窓辺には話を引き出すための資料が並ぶ(本人提供)
Photo By スポニチ

 自分がこの世に生きた証を、子や孫の世代に文章として残しておきたい。しかし実際には書くことが思いつかない、書くのが苦手などハードルは高い。そんな人たちの希望をかなえる「自分史活用アドバイザー」がいる。人生を締めくくる終活としてだけでなく、次のステージに進むきっかけづくりにもつなげている。

 ライター歴30年の小出広子(57)は「自分史活用アドバイザー」の資格を持つ。千葉県船橋市にある自宅兼会社が仕事場だ。自分史作成は、元編集者の夫(71)と2人で進める。小出が記事の執筆を、夫が編集と和綴(わと)じの製本を担当する。

 「ギニアに“一人の老人が死ぬことは、図書館を一つ失うのと同じ”ということわざがある。記憶はいずれ消えてしまう。記録として残したものが結局、歴史になっていく」。自分史を説明するとき、いつもこの話から始める。

 インタビューは依頼者宅や、自宅兼会社のリビングで行う。約2時間程度の聞き取りを数回実施し、簡単な冊子にまとめる。依頼者が十分な資料を準備していれば、聞き取りは一度で終わることも。一方で約1年間をかけ、じっくり取り組むものもある。通常5万〜20万円程度で、取材回数や文量などに応じて料金は変わる。

 取材には記憶を呼び戻すための資料、キーワードを準備して臨む。特に有効なのは年表が載っている「昭和史」など。当時流行した歌やテレビ番組などを手掛かりに、話を広げていく。題材に困ることはまずない。

 自分で書きたい人には適切な助言を送る。自治体が開くセミナーなどに呼ばれ、講師として指導。5、6回の講義で宿題を出し、提出物を基に組み立てさせる。「文章教室ではないので、直すのは“てにをは”くらい。その人らしさを大切にしたい」。講座の最終回には、和綴じの自分史が完成している。

 大学卒業後は編集プロダクションで約5年間、その後はフリーの立場で、旅行誌や女性誌などに寄稿するライターとして活動。2003年、編集に長く携わった夫と「有限会社Office SAYA」を立ち上げた。

 仕事の範囲は多岐にわたったが、小出は人に話を聞いて書くこと、夫は一冊の本を最後まで作り上げることにこだわりがあった。年月を重ね、自分がやりたいことに特化したいと考えたとき「自分史」がぴったりはまった。

 12年にホームページで募集を告知したが、反応はサッパリ。やがて、地元の船橋にツテがほとんどないことに気付いた。「まず船橋の歴史を知らないと」と一念発起。地元に根を下ろし生きてきた約20人にインタビューを重ね、聞き書き集「船橋の戦前・戦後」をまとめた。地元の文化や歴史を知ることで交友関係が広がり、自分史の仕事が軌道に乗り始めた。

 「自分史は高齢の方が人生の集大成として作るイメージだった。でもやっていくといろいろな形があることに気付いた」。初めて授かった娘を生後8カ月で失った夫婦や、夫を亡くした女性の思いを聞き書きし、まとめた。彼らはまだ30代。文字にすることで自分の気持ちに正面から向き合い、次の一歩を踏み出すことができた。「こういうのも自分史なんだ」と実感する。

 「まだまだ40代以下の人は講座に来ない。もっと早く始めてほしい」と話す。SNSの写真や文章で身の回りの出来事をつづるのも、自分史作りと原点は同じだ。「自分はこういうものが好きだったとか、逆境の時に頑張ったんだなと気付くと、次の長い人生で新たにしたいことが見えてくる」。自分を見つめ直し、明日への活力につなげる手助けが、何よりの喜びになる。 =敬称略=

 ≪全国で350人活動、写真や動画でも≫一般社団法人の自分史活用推進協議会が認定する資格「自分史活用アドバイザー」は、全国で現在約350人が活動中。フリーライターやカウンセラーなど出身業種は多岐にわたり、本だけでなく写真や動画などの自分史に特化したアドバイザーもいる。近年は大手新聞社や出版社も自分史事業に参入している。

[ 2017年11月27日 05:30 ]

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