【コラム】山内雄司

原口元気の成長 好調の要因は?

[ 2016年11月25日 06:30 ]

サウジアラビア戦でゴールを決めた原口(左から2人目)
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 原口元気が名前通りの溌剌ぶりを見せている。ワールドカップ予選4試合連続ゴールを決め、いまや日本代表の顔と言っても過言ではない活躍だ。原口を語るうえでもっとも指摘されるのが、走力とスタミナである。サウジアラビア戦でも激しく上下運動を繰り返した。守備から攻撃へ、攻撃から守備へ、片時もさぼることなく走り回った。その運動量は驚嘆に値するもので、サウジは明らかに彼の存在に煩わされていた。大きいのは自分のテンポで動けていることだと考える。相手に動かされるプレーは疲労する。自分のテンポで走れているので、スタミナも持続するのだと考える。

 そして、運動の量以上に質の高さが際立っている。もともとテクニックには定評があった。特にドリブルはスピード、キレともに他の追随を許さないものがあった。では、何が変わったのだろうと今回、浦和在籍当時のプレーを、録画を見返してみたところ、かなりの部分で違いを発見することができた。

 まず、“深くなった”。ドリブル中のフェイントや切り返しの際のDFのかわし方を見ると、足下ばかりでなく、いったん沈み込んでからの伸び上がりで腰から先にボールを押し出している。Jの時から決して“浅い”選手ではなかったが、腰が入るようになって深みが付き、強い押し出しによって瞬間的なスピードが上がり、方向性は安定し、さらなるキレ味が生み出されている。

 守備への意識の向上も、この瞬時のスピード、キレの向上が大きく寄与している。ボールホルダーにグッと寄せて、深く当たることができる。次の瞬間には攻撃に移られるのだから、相手は不要なプレーができなくなり、その結果としてメンタルでも原口に後れを取るように見える。

 これらを可能にするには、よほどの努力があったのだろうと推測できる。彼はよく「ドイツに来てからこのままでは出場できないと気づかされた」と語っている。ヘルタでは攻撃力と同等に、あるいはそれ以上に守備力が求められた。そこ意識を切り替えて、いかに必要な選手になれるか、を追求した結果として攻撃力も増したという好循環となったのだろう。

 もうひとつ、ボールの受け方も少し変わったように思う。J時代はスピードに乗ってパスを受ける際にボールに近い足のアウトで受けることもしばしば見受けられたが、現在はよりインで受ける割合が高まった。身体を開きながら受けることになるため、スピードが弱まることが懸念されるが、ここも腰の使い方と膝の強さでスピードを落とすことなく受けることができており、開いた分だけプレー角度も広がって選択肢も増したように感じる。

 ドイツに渡ってから、改めて徹底的に身体を作り直したと聞く。運動学の専門家ではないので、実際は身体的にどう変えたのか詳しいところはまるで分からないが、その成果がここに来て着実に表れてきたのだろう。走る姿にも逞しさが醸し出されるようになった。精神面の充実も表情から見て取れる。

 原口自身も次なるステップを意識していることだろう。日本代表でのさらなる活躍とともに、世界のシーンでもどこまで羽ばたいていくのか。楽しみは尽きない。(山内雄二=スポーツライター)

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