【コラム】山内雄司

日本代表 短期合宿の意図

[ 2015年5月10日 05:30 ]

欧州視察を終え再来日したハリルホジッチ監督
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 12、13日に行われる日本代表の国内組合宿のメンバーが発表されたが、これまで招集した選手に加えて大久保嘉人が復帰し、7選手が新たに候補に加わった。

 大久保は来月に33歳となるが、Jリーグで結果を残している以上、呼ばれるのは必然であろう。現在の代表において1トップには岡崎慎司が絶対的とも言える存在感を放っているが、その代役となると意外に層は薄い。川又堅碁はウズベキスタン戦で代表初得点をマークしたとはいえ、まだプレーの精度に欠ける。豊田陽平もその能力に疑いはなくとも、ファーストチョイスとなると難しい。今後、武藤嘉紀や宇佐美貴史らが最前線に立つかは分からないが、大久保の存在が刺激となるのは確かだろう。大久保は当然ながら遠慮なしに2列目、3列目の選手に点取り屋として様々な要求をしてくるはずで、彼がハリルホジッチ監督の流儀に触れて、チームへどのような影響をもたらすかが見ものである。

 攻撃陣についてもうひとつ触れるなら、浅野拓磨、杉本健勇の選出は大いなるメッセージを感じさせる。浅野は同じく初選出された岩波拓也、すでに招集済みの植田直通とともにリオデジャネイロ五輪を目指すU-22代表の一員だが、所属する広島では第10節終了時点でまだフル出場を果たしていない。開幕戦、第2節とスタメン出場を果たしたが、最近は後半途中出場で持ち味のキレとスピードで勝利への道筋を作るジョーカー的な働きをしている。ハリルホジッチ監督がどういう起用を考えているのかは現状では判断できないが、南野拓実や野津田岳人ら五輪組の攻撃陣へもたらす意義は十分にありそうだ。

 杉本健勇の選出は正直驚かされた。所属する川崎Fでは第10節終了時点で5試合157分の出場に留まっている。自分の目で見て良いと思った選手は迷わず呼ぶ。指揮官の「どんな選手にも扉は開いている」というメッセージを具現化する選手と言える。

 守備陣にも“ハリル流”が見て取れる。前述した岩波とともに丹羽大輝を初選出。これによりCB候補が過剰なくらいにひしめき合う構図となっている。チュニジア戦では吉田麻也と槙野智章、ウズベキスタン戦では昌子源と森重真人がコンビを組んだが、水本裕貴、塩谷司、そして植田もいれば今回は招集されていない千葉和彦、鈴木大輔もいる。ハリルホジッチ監督は吉田、森重、槙野といった経験ある新勢力がどこまでプレッシャーをかけられるか期待しているのだろうか。

 個人的には負傷から復帰した興梠慎三、柏で結果を出す工藤壮人、五輪組から遠藤航なども代表での姿を見てみたいが、柏と湘南は翌日に試合を控えており、その他コンディションの問題もあるのだろう。もう少し各クラブから選出して大所帯になるかとも予想していたが、これは監督の仕事なので何とも言えない。

 練習試合もない短期合宿なので、“イズム”を伝えることがメインとなる。今回選出された選手の半数以上は2次予選を戦うことはないはずだが、ロシアに向けて裾野を広げる時期であり、それぞれに実のある2日間を過ごしてほしいものだ。(山内雄司=スポーツライター)

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