【コラム】山内雄司

J1リーグが佳境を迎えている。

[ 2014年11月1日 05:30 ]

 第30節、首位の浦和は鹿島に先制を許すも、後半に追いついて勝点1を積み上げた。2位のG大阪はFC東京に競り勝つ。第29節での手痛い敗戦を払拭し、浦和との勝点差を3とし、逆転優勝への機運は高まっている。残り試合数からいって優勝はほぼ両者に絞られたと見ていいだろう。第32節には直接対決も控えており、片時も目を離すことができない状況だ。

 ACL出場権を巡る争いも熾烈を極める。3位の鹿島から6位の柏までが3勝点差、さらに3勝点離れて3クラブがひしめく。こちらはおそらく最終節までもつれ込むはず。サポートクラブに声を枯らしつつ、他会場の経過も気になる緊迫の数時間となる。

 一方、残留に賭けるクラブも必死の戦いが続く。徳島は残念ながらすでに降格が確定したが、残る2枠の回避を数クラブが競っている。現実的にはC大阪、清水、大宮、仙台、甲府までか。各クラブに係わるすべての人が心をひとつに最後の一瞬まで己を信じる。心情的にはどこにも降格してもらいたくはないが、残酷ではあるがこれも間違いなく大きな見所のひとつ。どこまで力を結集できるかが問われる。

 混戦リーグと言われて久しい。抜きん出たクラブがないのは……という議論もあろうが、これぞリーグ戦の魅力でもある。1シーズンの長きに渡って死力を尽くし、終盤におよそ濃密なクライマックスが待っている。ひとつのゴール、いやひとつのプレーが運命に直結する。栄えある頂点を目指して、アジアへの登壇を誓って、あるいはポジション死守のために、そこには選手のみならずクラブ関係者、そしてサポーターの、大げさに言えば生き様が映し出される。この醍醐味はそうそう味わえるものではない。まやかしなしの決定的な現実、明と暗の非情かつ扇情的なドラマを目に焼き付けていきたい。

 しかしながら、そんなハラハラドキドキと浮き立つ心の片隅で、澱のようにわだかまっていることがある。来シーズンからの2ステージ制である。果たして、これほどまでに濃密なクライマックスの後に、それを受け入れることができるのだろうか。否、できるはずがない。

 筆者は2ステージ制に断固として反対である。その理由はこのコラムでも数回記述してきたので、興味がある方は遡って読んで頂きたい。

 今一度言う。2ステージ制はアホな制度であり、これを押し通そうとするのは暴挙である。いったいリーグ戦の魅力や醍醐味をJリーグのお偉いさんはどう捉えているのか。選手やサポーターの必死の努力の結果、得られるものが“暫定チャンピオン”という曖昧なタイトルとは悲しすぎる。しかも、チャンピオンと言っておきながら年間勝点1位のクラブより立場が下という摩訶不思議な逆転現象はどうしても納得できるものではない。「ホーム&アウェーも戦っていないのだから、あなたたちは暫定チャンピオンなんですよ」という運営側の放漫によって、選手やサポーターの価値が貶められ、生き様さえ歪められるような気がしてならない。

 Jリーグは観客動員どうのこうのと言いながら、それを改善する策をどこまで真剣に検討してきたのか。案はもっと集められたはずだ。選手の意見、現場の意見、サポーターの意見を幅広く収集し、それぞれが努力する姿勢を支援することこそ、統括する団体のすべきことではなかったか。それらをせずに、「こっちは頭を悩ませた。いいからこれでやれ」という態度に見えて仕方がない。観客動員云々は隠れ蓑で、スーパーステージ(仮称)、チャンピオンシップ(仮称)開催による試合数の確保、それによる収益を当てにしているのが実際のところか。フェアなアナウンスもせず、フェアでない開催方式を押し付け、サッカーファミリーから楽しみを奪う暴挙には、やはり反対の声を上げ続けるべきである。

 残念ながら、これは決定事項であって少なくとも来シーズンの開催は覆すことはできないと思われる。ならば、果たして新方式(旧方式だが)がJリーグ側の説明に合致するものか。心からリーグを楽しみ、醍醐味を堪能できるものかを実体験し、リーグの向上という視点も合わせてしっかりと検証していく。そのうえで声を上げ続けていきたい。こちらはあくまでもフェアでありたいから。

 JリーグのHPには、立派な文言が数多く見受けられる。その中に「Jリーグの活動方針」という記述がある。最後にその第1項を記しておこう。どうお感じになるだろうか。
『1. フェアで魅力的な試合を行うことで、地域の人々に夢と楽しみを提供します。』(山内雄司=スポーツライター)

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