【コラム】山内雄司

2ステージ制に反対する理由

[ 2013年12月21日 05:30 ]

 12月17日、Jリーグは理事会を行い、来季のJ1、J2、J3の各リーグ、ナビスコカップ、J1昇格プレーオフ、J2・J3入れ替え戦の大会方式と試合方式を発表した。ここではそれらについては言及しない。取り上げるべきは同時にリリースされた2015年以降のJ1リーグの大会方式と試合方式だ。個人的な意見と予め断ったうえで、今回のものもまったくもって認められない方式だと言わざるを得ない。

 「今回のもの」と書いたが、少しばかり経緯を整理しておく必要がありそうだ。3か月前の9月17日、Jリーグは2ステージ制+スーパーステージ(仮称)+チャンピオンシップ(仮称)という枠組みを発表し、その際はスーパーステージを各ステージの1位、2位がたすき掛けで戦うものとした。しかし、わざと負けることで繰り上げ出場が可能となるという欠陥が発覚し、再考を余儀なくされていた。あくまでも実施ありきのJリーグとしては、繰り上げることなく何とかしたいと考えたのか、各ステージ2位は無しにして、今度は年間順位2位と3位を持ち出してきた。少し長くなるが、以下にスーパーステージの実施要項を要約する。

 (1)各ステージ各ステージの優勝チームと年間勝点2位、3位の計4チームで1回戦制のトーナメントを行う。

 (2)各ステージ優勝クラブのうち、年間勝点上位が年間勝点3位と、年間勝点下位が年間勝点2と1回戦を行い、それぞれの勝利クラブが2回戦に進出し、チャンピオンシップ出場を賭けて戦う。

 (3)年間勝点1位とスーパーステージ進出対象クラブが重複した場合は、年間勝点1位のクラブはチャンピオンシップに進出(スーパーステージには出場しない)。

 (4)各ステージの優勝および年間勝点2位、3位が重複する場合は、各ステージ優勝クラブがシードされる。 ただし、スーパーステージ出場権を持ったクラブが降格対象となった場合は参加資格を失う。

 お分かり頂けるだろうか。そう、何が問題かと言えば、とてつもなく解かりづらいのである。

 便宜上の例として、今季の結果を当てはめて考えてみる。17節までを第1ステージとして広島を優勝とする。18節からを第2ステージとして新潟を優勝とする。ただし広島は年間勝点1位なので(3)に則り、スーパーステージには出場せずに直接チャンピオンシップへと進む。するとどうなるか。第2ステージ優勝の新潟は年間勝点2位の横浜と対戦するが、広島との対戦がなくなった年間勝点3位の川崎Fが宙に浮いてしまう。(4)の解釈を適用すると、新潟はシードされるとして、では横浜と川崎Fが戦う?

 つまり、(3)が適用される場合はそもそも(1)が成り立たず、(4)を適用すると(2)が成り立たなくなる。これはやはり制度としては不備であろう。もし私の解釈が間違っているなら謝るしかないが、皆様もJのホームページで確かめてほしい。何度も言うが、非常に解かりづらいのだ。曖昧な部分も残されている。この原稿を書くにあたっても資料を横に置いて、紙に書いて確かめるという作業を要している。どことどこが戦うのかも説明されなければ解からないような方式で、果たしてJが動員を目論むライト層がついて来られるだろうか。「よく解からなーい」「なにそれー」が増えてライト層は取り込めず、チャンピオンの価値を薄めてコア層も納得いかない事態を招くのではと心配になる。優勝とは名ばかりで、ステージを制する=スーパーステージの出場権の獲得では、本当にモチベーションは上がるだろうか。年間勝点の重要性を高めたと言えば聞こえはいいが、後付けに過ぎず、年間勝点を重要視するにつけ、むしろ2ステージの必要性が脆弱になる矛盾が付きまとう。

 今季も最後の最後まで目の離せない展開となった。1シーズンの長きに渡って死力を尽くして戦い、多くのドラマが生みだされる。作為的に作られたものでないからこそ、共鳴した人も多かったのではないか。大宮のように急降下したクラブもあれば、鳥栖や新潟のように確かな足跡を刻んだクラブもある。1シーズンだからこそ重大な課題も見出せるし、本物の成果や自信を手にすることができる。短期決戦では永続的な強化、クラブ運営という点では実態をつかみにくい。

 タイトルマッチを増やせばスポンサーがつく。露出が増えれば客も入る。いかにも短絡的であるし、ファンの反対意見も理解していると言いつつ、結局は不備を正すばかりのやり方で、果たしてJリーグの、日本サッカーの発展が約束できるのか。人々のフットボールのある生活を守れるのか。

 改めて私は2ステージ制そのものに強く反対する。どんな方式を用いても、それありきの事項が先行する現状を憂いている。決まったものは諦めるしかないという意見もあろうが、決定の経緯も含めて、密室の決め事を「ここまで来ちゃったから受け入れます」と言う気にはなれない。発表されても、それを受けてまだまだオープンな議論を尽くすほうが健全じゃないか。

 9月17日の際にはメディアもそれなりに取り上げた。だが、3か月経って修正発表された内容を取り上げたところは少ない。多くのファンが様々な行動を起こし、反対の意を表明した姿を忘れたわけではなかろう。いま一度、俎上に乗せ、皆の思いや受け取り方を少しでも知りたいと、この場を借りて記させてもらった。(山内雄司=スポーツライター)

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