【コラム】山内雄司

待った無し! 変革への真剣なるチェンジ

[ 2013年9月5日 06:00 ]

練習メニューの指示を出すザッケローニ監督(左)
Photo By スポニチ

 グアテマラ戦、ガーナ戦のテーマはずばり『チェンジ』であろう。

 コンフェデ、ウルグアイ戦で13失点を喫した守備の立て直しが声高に語られており、とりわけ吉田や今野への風当たりは強い。確かに彼らはいくつものミスを犯し、責を負うべき姿を晒した。

 チェンジの一環として、ここは吉田を外し、森重を起用すべきという意見も十分な説得力を持つ。ただ、それで丸く収まるとは到底思えない。何より吉田はザッケローニ監督率いる現代表のメインキャストである。事あるごとに絶対の信頼感を公言し、その証としてどんなにコンディションが整わずとも起用し続けてきた。言ってみれば吉田のポジション逸は、自らのポジションを失うことに直結する事態といえる。無論、起用の裁量は監督にある。吉田のコンディション不良、新戦力のテストなど、メンバー入れ替えの理由はいくらでもつけられる。しかし、吉田、今野のCBコンビにメスを入れるのは、ザッケローニ監督にとっては容易ならざること。自らの力量に自身で疑問符を付ける行為に他ならからだ。

 CB以外でも不可侵のポジションだらけだ。ボランチはどんなにパフォーマンスが悪くても遠藤、長谷部で決まり。DFばかりに責任の所在が偏っているが、ここが機能しなければ失点が増えるのも道理である。ふたりとも以前のような存在感はない。長谷部はヴォルフスブルクで出場機会を減らし、しかもボランチでは起用されなかった。

 指揮官は「だからこそ代表で使わなければならない」といった趣旨の発言をしたが、とんでもない思考である。代表を特定選手の救済の場として世界に挑むなんて話がまかり通って良いわけがない。本田のウルグアイ戦後のコメントがJ軽視ではないかと話題になったが、彼にしても「いかに厳しい環境で厳しい戦いに身を置き、いかに自分を磨くか」を問うただけで、欧州にいてもプレーできていない選手を特別視するものではない。

 メンバー発表後、ニュルンベルクに移籍した長谷部や吉田、そして香川でさえも今後所属クラブで地位を築けなければ代表から外される。そうした不文律があってこそ競争は高まり、代表の価値や総合力は上がってくる。彼らが必要なのは分かった。だが、それは十分なパフォーマンスが得られる状態にある時に限定されるべきで、今回ならば例えば長谷部ではなく細貝にチャンスが与えられるべきではないか。

 とはいえ、このようなザッケローニ流はもはやそれが当たり前になっている。東アジアカップが終わり、白紙に戻すとの言葉もリップサービスに過ぎず、相変わらずの決まったメンバーに約束手形を渡すばかり。細貝や中村憲、高橋など「よっしゃ、いよいよ俺たちか」組は招集されず。そこには“白紙発言“の信憑性を高めるテスト、チェックという言い分に基づくエクスキューズが見え隠れする。私だって若手の台頭を待ち望んでいるんだよというポーズか。

 コンフェデでの惨敗とウルグアイ戦でのやられっぷり。世界の強国と戦えるチームになっていないのは明らかになった。誰が見たって、今こそ本気でチェンジすべき時である。プレーするのは選手だが、現在の停滞、もっと言えば凋落を招いたのは指揮官の責任である。特権階級を作り、競争による進化を怠った。さらには試合における采配でチームを勝利へのレールに乗せる術を見せられない。真剣に再建を探るなら、もっと大きくチェンジしなければならないところ、ザッケローニ監督は少なくともメンバー選考においてはチェンジへの意欲を見せなかった。そんなことはしない監督であることは重々承知の上で敢えて言うが、ここで大久保や中村俊らを呼んでいたなら、チームに大いなる喝とエナジーを与え、変革への強烈なアピールになったのだが……。

 もう待った無しである。グアテマラ戦とガーナ戦はテストマッチではあるが、メディアもファンも、そして協会もバカ正直に「テストだから」などと誤魔化されず、とことんまで精査しなければなるまい。変革への真剣なるチェンジがそこにあるか。それは未来を託すに値するチェンジなのか。もしそれが見受けられなかったら、指揮官をチェンジするのが最善の策である。(山内雄司=スポーツライター)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る