【コラム】山内雄司

進むJの2ステージ制とCSの実施案 議論促進を願う

[ 2013年5月25日 06:00 ]

 5月21日に行われたJリーグ戦略会議にて、04年以来となる2ステージ制とチャンピオンシップ(CS)の実施案がまとめられ、来月のJ1・J2合同実行委員会に掲示されることになった。ルールや日程は決まっていないとのことだが、現実的には97年から04年までの方式(1ステージ1回戦総当たり)を採用することになるはず。目的としては優勝争いのチャンス増による観客数アップ、チャンピオンシップの開催による集客と収益増、新規スポンサーの獲得と地上波の放映権料、広告収益のアップなどが挙げられている。

 まず立場を明らかにしておくが、私は断固反対である。その理由を列挙する。

1)ホーム&アウェーというリーグ戦の根幹を成さずして優勝や順位分けをしては公平性は保たれない。
2)00年の柏や磐田のように年間で勝点が多いクラブ、つまり1年を通じて安定して強さを発揮してもCSにすら出場できないケースも生じる。ルール上は有効であっても不可思議さは拭えず、タイトルの権威失墜を招く。
3)各ステージにおける星勘定に走る懸念。シーズンを通した強化戦略が疎かになり、レベルアップに繋がらないのではないか。
4)CSそのものも公平性を欠く。第2ステージ優勝クラブの優位性は免れない(過去9回のCSのうち6回が第2ステージ優勝クラブの勝利)。
5)CS開催による日程過密がもたらす選手のコンディションの低下、試合レベルの低下への懸念。
6)観客動員増加の根拠が希薄な点。新たなファンが増えるかもしれないが、1シーズン制を当然と思うファンに受け入れられるとは思えない。

 まだ書けるが、ひとまずこれくらいにしておこう。J黎明期はクラブ数も少なく、周知するためのコンテンツとして確かにメリットも多かった2ステージ制だが、その役割は04年に終わったはず。世界基準のリーグとなるべく1シーズン制に踏み切ったはずなのに、時計の針を戻す蛮行と言わざるを得ない。お金の勘定は大切なことであろうが、20年間を積み重ねて培ってきた文化を壊すような案がこのタイミングで浮上してきたことを情けなく思う。また、仮にシーズン移行への布石だとしたら、ずいぶん乱暴なやり口でもある。

 さて、絶対反対の意を表明したところで、実はこのコラムで言いたい点は他にある。私の『Jの一大事である』との認識は大袈裟なのか、という不安だ。というのも、どうもメディアの反応が乏しい印象を受けるからだ。まだ騒ぐタイミングは「今でしょ!」じゃないのか、事実関係を伝えるだけのかなり冷静な報道に終始している(ように私には思える)。多くの媒体でメリット、デメリットを検証するなり、多くの意見を集めて掲載するなり、あるいは媒体として賛成、反対を唱えるといった特集が組まれても然るべき由々しき問題である、と個人的には思っていたのだが……。一部の媒体ではかなり突っ込んだ記事を掲載しているようだが、有力スポーツ紙や専門誌はそれほどではないように感じる。

 もっと議論が必要ではないか。もっと議論を促進してもいいのではないだろうか。議論を深めるうえでメディアは大きなパートを担うものと信じているが、現状には物足りなさを感じてならない。同業者批判のように受け取られるのは本意ではないが、敢えて一介のライター風情の分際で書かせて頂いた。

 それともやはり、勝手に熱くなり過ぎているだけなのだろうか。(山内雄司=スポーツライター)

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