【コラム】山内雄司

レベルは頭打ちなのか。それともダウン? ACLに見るJリーグの力

[ 2013年2月28日 06:00 ]

ACLブリラム戦で引き分け、肩を落とす田村(23)ら仙台イレブン
Photo By スポニチ

 2月27日の朝刊を開き、複雑な心持ちとなった。『仙台がホームでドロー』『浦和3失点の惨敗』という前日に始まったAFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)の結果を知らせる見出しの横に、『来年度よりJ3創設決定』の文字が並んでいる。果たしてこれをどのように考えれば良いのだろうか。

 浦和が対戦した広州恒大はグループリーグ最大のライバルと目されていただけあって、強烈な印象を植え付けた。クラブは豊富な資金力を活かして戦力を整備。なかでもブラジル人のムリキは圧倒的なスピードとクイックネス、ボールコントロールで試合の主役となった。

 そして監督はあのマルチェロ・リッピ。名将の名将たる所以か、彼は浦和をよく研究していた。DFラインに圧力をかけ、阿部、鈴木のダブルボランチへのパスを乱れさせ、ボランチから余裕を奪ってカットしてはカウンターを仕掛ける。守備ではウラを取られないようラインを無理に上げず、浦和に回されても決して慌てなかった。

 もちろんこの試合や、仙台がタイのブリラム相手に勝ちきれなかった仙台の一戦だけで言及するのは乱暴すぎるが、Jリーグがアジアの中でも確固たる立場を築けていない現状を再認識させられた。07年の浦和、08年のG大阪と2年連続で頂点に立ったが、それ以降は09年の名古屋のベスト4進出が最高位と低迷している。過密日程や移動による疲労、審判や環境の違いなど要因は多々あるが、それは多かれ少なかれ他国リーグも同じ。彼らが力をつけている一方で、Jリーグのレベルが頭打ち、もしくは落ちているという分析もあながち間違いとは言い切れない。

 長引く不況による影響は大きい。いわゆる世界的な選手、名将と呼ばれる監督を迎え入れることは困難となった。いや、本当に手立てがないとは思わないが、どのクラブも大規模の投資によりそれ以上の効果を狙うより、なるべく投資は少なく、リスクを負わないように、という姿勢が色濃く漂う。さらには有望な若手は海外に道を見出す。これではレベルが上がらないのも仕方あるまい。

 そんな中でのJ3創設は起爆剤足り得るのか。Jリーグは百年構想のもと、これまで拡大路線を敷いてきた。それによりプロ参入を目指すクラブが全国に増えてきたのは喜ばしいことだが、J2でも厳しいクラブは多いのに、J3で健全なクラブ経営が出来るだろうか。興行としても採算がとれるか疑問符は付く。J3にはクラブライセンス制度を設けず、収容人数などのハードルも下げるという。

 大東チェアマンは「J1のブランド力を落とさずに底辺を広げる」と語っているが、果たしてJブランドやレベルの均等化あるいは低下、リスク回避の経営姿勢の促進に繋がらないかと危惧する。J3が、J1やJ2の経営難クラブや降格クラブのための互助会的な組織となり、母体であるJリーグを逼迫することになったとしたら本末転倒であろう。個人的には構想は構想、理念は理念として持ちつつ、もう少し議論を重ねても良かったのでは、と思う。強くて魅力あるリーグ、健全化には今こそJ3なのか。それならばJ1やJ2のクラブ数は現行のままで良いのかも含めた見直しは必要なかったのか。

 日本協会とJリーグは4年ぶりにACLサポートプロジェクトを立ち上げ、参加クラブを支援しているが、短絡的な策ばかりではなく、アジアでの復権、さらには世界と戦えるクラブを輩出するためにリーグ全体のレベルをどのように上げるかを課題に、慎重に路線を敷いていかなければならない。選手やファンがいつまでも夢を持てるリーグであるために。

 と、偉そうすぎて自分でも引く。ただ、もう我慢ならないんだ。これ以上、他国クラブの歓喜を見ることが。広島、仙台、浦和、柏の4クラブには是が非でもアジアの頂きに立って欲しい。J強しを強烈に示して欲しいんだ!(山内雄司=スポーツライター)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る