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Jリーグの情報発信 “聞き出す力”メディアの努力・向上も必要

欧州CLトットナム戦前日会見、記者の質問に対して絶妙に答えるユベントスのGKブッフォン(左)とアッレグリ監督
Photo By AP

 2月22日付の戸塚啓氏のコラムを興味深く読んだ。平昌オリンピックの代表選手たちの優れた情報発信力と、それと比較したJリーグ、クラブ、選手たちの発信力の物足りなさ等が記されている。筆者も同様に感じていた部分が多かったので、戸塚氏の意見にうなずかされた。特に選手発の発信力の重要性には同意する。しっかり話をする選手が増えれば、それだけJが取り上げられる機会が増すのでは、とも考えには賛同する。

 ただし、である。選手の発信力を上げるには、それを引き出す側の知恵や力量も上げていかないことには十分な成果は得られないだろう。

 平昌では確かに多くの選手が競技の魅力や自身の4年間に賭けた思いを、自分の言葉で紡いでいた。だが、インタビュアーが存分にそれを引き出せていたかは疑問が残る。最も気になったのは、すぐに次のような質問を繰り出すことだ。

 「ここまで来るには多くの人の支えがあったと思われますが……」「日本からも多くの人が声援を送っています」

 そう問われたら選手の答は必然的にこうなる。

 「自分ひとりでここまで来られたわけではありません。いろいろな人に支えられ、応援して頂き、本当に感謝しています」

 予定調和の最たるものではないか。無論、選手は本心で語っているのだが、それを敢えて誘導するメディアの“してやったり感”に鼻白んでしまう。支援や応援に対する感謝の表わし方は、選手個々がそれらの人々に対して言葉なり行動なりで示していけばよいことで、気安く「感謝しています」と言わせることにどれだけの意味があるというのか。選手の思いや競技への熱量を引き出す側が、選手が語るより前に「感謝している」と言わざる得ない状況を作り上げ、そのとおりになって悦に入る姿のなんと放漫なことか。

 Jーグでもそのような場面は散見する。個人的にどれほどの意味があるか首をかしげるのが試合後のヒーローインタビューとハーフタイムの監督へのインタビューである。

 「ナイスゴールでした。振り返ってください」と、なぜナイスゴールであると思ったのかも明かさず選手にすべてを託すため、選手の答もおよそ見当がつくものとなることが多い。

 「前が空いたので思い切って撃ちました」「○○がいいボールをくれたので押し込むだけでした」

 なかには戦術的なアプローチや見方や相手の位置関係、どういった狙いでシュートの種類やコースの選択をしたかをきちんと自ら説明する選手もいるが、それは聞き手が引き出したのではない。もともと発信力の高い選手であっただけで、そこに発信力を高める策があったわけではない。

 ハーフタイムの監督インタビューも同じ。

 「前半を振り返ってください」「後半への課題や修正点は?」「ありがとうございました」の予定調和。

 監督が選手に話すよりも前にまともに戦術的な話をするはずもなく、大抵は次のような返答となる。

 「まずまずの出来だった」「いい流れでできました」「少し後手に回ってしまった」「ボールが回らず、押し込まれてしまった」「連携面で少し問題があった」「後半に向けて修正していきます」

 よく話す監督かそうでないかの差であって、結果的には内容よりも話を聞いたという事実で“一件落着”である。

 と、散々インタビュアーをクサしている筆者だが、人見知りで口下手なうえ、極度の上がり症であり、選手の思いや試合のポイント、競技についてのあれこれを聞き出す作業がどれほど難しく、大変であるかを知っているつもりだ。だが、その任を得たのならば、なんとか予定調和で終わらせない努力がなければ、戸塚氏の言う『しっかりと話をする選手』もなかなか増えていかないだろう。

 もっともこれはインタビューに限ったことではなく、記事でもそう。しっかりと話す選手を増やすには、リーグやクラブ、選手の発信力の向上を期待するのと同様、いやそれ以上にメディアの向上、成長に責任がある。末席ながらその一員たる自分自身への自戒を込めてここに記しておく。

 しかしまあ、なんとも悦に入った放漫さ、してやったり感の強い文章であろうか!(山内雄司=スポーツライター)

[ 2018年3月10日 06:00 ]

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