【コラム】山内雄司

長谷部や吉田の代役は出なかった 控え組との差は大きい

[ 2017年10月25日 20:30 ]

日本代表DF吉田の代役は表れなかった…
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 ブラジルとベルギーというこれ以上ない強豪と対戦できる機会を、ハリルホジッチ監督率いる日本代表はいかに活用するのか。

 キリンチャレンジカップのニュージーランド、ハイチとの試合では、相手の実力的にも、長谷部や岡崎、本田らの不在という状況もあり、杉本や遠藤、井手口や倉田、小林祐、車屋といったスタメン争いに敢然と名乗りを挙げてほしい選手たちにチャンスを与えたが、収穫に乏しかったばかりか、課題ばかりが浮き上がる結果となった。特にニュージーランド戦からスタメン9人を入れ替えたハイチ戦では17分までに2−0としながら逆転を許し、終了間際にかろうじて追いつく惨憺たる出来だった。

 もちろんこれまで組んだことの少ないメンバーによる編成だったことが、冴えない試合の大きな要因になったことは明らかだ。ただし、それを差し引いても、いや新たな組合せだったからこそ、チームとしての戦術や規律が重要だったのだが、それがまったく垣間見えなかった。指揮官は何を求めてピッチに送り出しているのか。選手は何を求められているのか、状況をどうとらえ、どこに重きを置くのか。そういったものをないがしろにし、闇雲にプレーする。まるでワールドカップ本大会に出場する国の代表チームとは思えない稚拙さが際立っていた。

 たとえばハイチ戦での1失点目は、2−0で気を良くしてゴールラッシュへ持ち込めると思ったのか、サイドバック、インサイドハーフも含め、6人もの選手が相手ペナルティエリア付近に集まり、しかし誰も相手を引き連れたり、スペースに飛び込んだりしないものだから簡単にセンターサークル付近までボールを運ばれてしまう。誰もいなくなった広大なスペースを遠藤ひとりでしのげるはずもない。たまらず昌子が当たりに行くが前を向かれてしまう。遠藤はもっと中継地点となるハイチ選手についているべきだったし、昌子は何が何でも前を向かれてはならなかった。もっと頂けないのは昌子が当たる間に全力で戻るべき攻め上がったままし、その間に攻め上がった酒井高や小林祐、倉田らは全速力で戻らなければならなかった。各自がやるべきことをせず、簡単につながれてゴールを割られてしまった。

 2失点目は相手FKの際に気を抜いてしまうというあり得ないものだったし、3失点目も再び遠藤の脇のスペースをいいように使われてしまったのがきっかけとなった。リスク管理なく動き回り、連係もままならない。指揮官が「ブラジルが相手だったら10失点している」というコメントも大げさでもなんでもない、崩壊と呼んでも差し支えない試合だった。

 スタメン組と控え組との間にはまだまだ大きな差がある、との結論が導き出されるが、それはどんなチームでもある程度は仕方のないことであり、だからこそその差をいかに縮めるか、差はあるにしても誰が出ても同じ理解の下で戦えるかが大会を勝ち抜くチームの鍵となる。残念ながら日本代表はこの課題を克服できておらず、その点ではハリルホジッチ監督も指導力を発揮できているとは言い難い。

 筆者はまだ半年以上ある、積極的な人材登用をすべきとの考えを持っていたが、キリンチャレンジカップの2試合で少しばかり意識が変わった。もう時間はそうそうない。大半を入れ替えて臨むようなテストはもはやあまり意味がないような気がする。

 そこでブラジルとベルギーとの戦いである。当然ながら本大会を想定したテストとなるし、新戦力は試合の流れの中で数人の起用という形が採られるべきであろう。ハリルホジッチ監督はACL準決勝の観戦後、浦和の興梠、長澤への興味を口にしたが、彼らが招集されるか、されてなお起用されるかも戦術理解度がベースとなる。苦しい最終予選を勝ち抜き、さあ本番へ向けて、というもっとも意気揚々と前を向くべき時期に閉塞感を生んだ2試合を取り返すには、これまで通り以上にやりべきことをする、決まり事はきっちりこなす、戦術の共通理解を深めていく。それしかない。

 結局、長谷部や吉田の代役は出なかった。ただ、代えの効かない選手はそういうものだ。ならば、彼らを軸にオプションを探るチャレンジをし続けなければならない。

 そこで特に気になるのがCBと中盤の関係である。吉田とコンビを組むのは現在の順列でいけば昌子であろう。ただ、昌子はハイチ戦でもリスク管理に難を見せた。これは彼だけの責任ではなく、中盤を含めた関係性に苦慮した結果だ。守備への自信を回復させるのは、その関係性をもってリスク軽減を図るのも友好な手立てだ。たとえばの提案として、布陣をダブルボランチ固定の4−2−3−1、あるいは4−4−2にするというのも一考だ。布陣というのはひとつ動かしたらこちらは……というものだし、またぞろトップ下論争に火が点くことにもなろうが、まずは守備の建て直しから着手するのが常套に思える。

 日本代表は強くない。それをしかと認識し、今後の1試合1試合を有効に使うしかない。重きを欠いた、闇雲な試合をしている余裕はない。(山内雄司=スポーツライター)

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