【コラム】山内雄司

カズがそこにいる幸せに酔いしれよう

[ 2017年2月16日 05:40 ]

笑顔で撮影に応じる(左から)C大阪MF清武、横浜FCFWカズ、C大阪MF柿谷
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 3月で50歳になる。自分でも信じられない。子供の頃、50歳といえばおじいさん一歩手前で、何をやっても怒られるのではかいか、とにかく厳つくて恐ろしい存在の世代だった。しかし、いざ自分がそうなると、まだまだ人生がなんたるかも分からず、ガキのまま年だけ重ねてしまった現実に打ちのめされる。いったい自分は何をしてきたのだろうと落ち込む。40歳の時はそんな想いは特になかった。だが、半世紀は結構堪える。

 だからこそ、最近はますますその男のことを脳裏に浮かべる。階段の上り下りで息を切らせたとき、食べ過ぎて胸焼けしたとき、おっさん扱いされたことをヘラヘラ笑って誤魔化すとき……。駄目だこのままでは、彼に1ミリでも近づかなければ、なんて思ってしまう。

 男は2月26日で50歳になる。それでも、信じられないなどと言わず、それを受け入れている。俺は何をしてきたのだろう、なんて考えず、ただサッカーをやってきた。そして今でもサッカーをやっている。プレーヤーとして、今もなおゴールを奪わんとしている。

 三浦知良。誰もが知っている偉大なプレーヤーは、それでも未だに漢字を間違えられることもある。でも、カズ、カズさん、あるいはキングと言えば、ファンならずとも畏敬の念を抱く。素敵なことだ。それだけ多くの人が彼に夢を与えられた。ましてや、これからも夢を紡いでくれるのだから、その存在に圧倒される。

 私事ながら、筆者は93年にサッカー専門誌の編集部に入った。一介のペイペイの記者は、同い歳ながらJリーグ開幕の熱狂の中心に太陽のごとく君臨するカズに酔いしれ、少しでも彼のいる世界を伝えられるようになりたいと願った。

 あれから24年。筆者はなおもペイペイのままこの世界からほぼ脱落しつつ何とかしがみつき、カズは第一線で走り続けている。もう努力と鍛錬の差は決して埋まらない。天と地ほど離れてしまったからこそ、筆者は偉大な“同級生”を心から敬い、応援し、プレーヤーとしてのカズの姿を、さらにしっかりと焼き付けておきたい。

 疲れたが口癖になってしまった。仕方ない、50歳だもの。

 冗談じゃないぜ。俺らにはカズがいる。50だろうが何だろうが関係ないぜ。また新たなJの扉が開く。カズがそこにいる幸せに酔いしれよう。(山内雄二=スポーツライター)

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