【コラム】山内雄司

メディアも一層の成熟を求められる

[ 2017年1月27日 06:00 ]

 各クラブとも新たなシーズンに向けてチーム作りに余念がない。そろそろ1次キャンプから2次キャンプに移行する頃だろうか。より実戦的なトレーニングも増えてくる。それぞれ陣容が固まってくる課程もファンには楽しいものである。新加入選手はどれだけフィットしてくるのか、競争力がどれほど高まっているのか、どんなポイントにチャレンジしているのか。それらを実際に見つめることができればいいが、キャンプ地に何日も繰り出せるファンは少ない。必然、テレビやネット、活字による情報に頼ることになるが、もうひとつ参考にならないものも多い。

 確かに話題性という点では乏しいかもしれない。試合のように派手な映像やドラマチックな原稿は期待できない。特に全国ネットのスポーツニュースなどでは時間の枠はあまり取られず、新加入選手のなかでいちばん期待される選手を追えばそれで終わり、というものも多い。

 なかには乱暴なものもある。地元の大学やクラブチームとの練習試合で「新加入の○○選手が何点決めました。すっかりチームに溶け込んでいるようです」とか、「精力的に動き、存在をアピールしました」とか……。これらは決まり文句のように使われるが、その時点の狙いや目的が明らかにされないのであれば、それほど意味を持たない。得点が必要な試合であったのか、精力的な動きとはどういう動きであったのか。そこが曖昧な報道が目立つ。

 個人的にもっとも「なんだかなあ」と思うのが次の決まり文句だ。練習前の鬼回しや、練習後の談笑の映像を背景に「チームはとてもよい雰囲気になっています」「和気あいあいと汗を流していました」

 よい雰囲気ってなんだろう。練習の前後に笑顔を見せることやランニング中に笑い合うことがそうなら、ほとんどのチームがよい雰囲気になるだろうし、そもそも笑顔がなけりゃ駄目みたいな誤解を与えかねない。チームワークは必要だが、プロのクラブに和気あいあいは必ずしも必要ではない。

 さらにキャンプと言えば、オフに何した、リポーターに冗談言った、誰それが散歩軍団に加わった、などといったいわゆる雑感記事や映像もお約束だ。ファンにはそれもたまらないと思われるが、“よい雰囲気”の羅列が、そこで何が行われているかより重要だとは思えない。

 もちろん、しっかりと伝えようとする媒体もある。同業者の悪口を言うのが目的ではない。ただ、大型の資金契約を結び、東京五輪を控え、ワールドカップも拡大化しようとする今後を踏まえ、メディアも一層の成熟が求められてくる。“よい雰囲気”で片付けないことから始めるべきだと考えている。(山内雄二=スポーツライター)

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